【10月19日 AFP】亡くなった人や過去の住民に届けられた投票用紙など、米大統領選の郵便投票に関する不正疑惑の話はもっともらしく思える。だが、ソーシャルメディアに投稿されるこうした主張は不正確で、大統領選に対する信頼を揺るがす脅威となっている。

「こんなことが続くなんておかしい」

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の長男ドナルド・トランプ・ジュニア(Donald Trump Jr)氏は、ある人がツイッター(Twitter)に投稿した、首都ワシントンの共同住宅に間違えて送られてきたとのコメントが付けられた郵便投票の用紙が入った8通の封筒の写真をシェアし、訴えた。

 郵便投票制度には、署名の事前登録などの不正予防手段が講じられており、専門家らはその有効性を認めている。

 だが、もちろん時には問題が起こる。トランプ・ジュニア氏以外のソーシャルメディア利用者の一部も、民主党が大量の郵便投票によって選挙を「不正操作」しようとしているとするトランプ大統領とその選挙チームの主張に賛同している。

 AFPがいくつかの事例を調べた。

 トランプ氏の主張に反し、最大の脅威は本当の投票数よりも多くなることではなく、少なくなることではないか。投票者の署名が以前と変わってしまっている場合、投票が認められない可能性がある。また、投票が先延ばしにさせられているうちに、有権者が制度への信頼をなくし、結果として投票が抑えられてしまう恐れがある。

■首都ワシントン

 トランプ・ジュニア氏がシェアした投稿は、友人が8通の郵便投票用紙を受け取ったが、それはすべて過去にこの住所に住んでいた人宛てだったと主張している。

 これは、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)に対応するため、ワシントンの選挙管理委員会(DC Board of Elections DCBOE)が、郵便投票用紙を登録された有権者に自動的に送付すると決めたために起こったことで、中には住所変更をしていない人も含まれていた。

 DCBOEの広報担当者ニック・ジェイコブス(Nick Jacobs)氏は、署名が登録されているため、他人は投票できないと説明する。「署名がないもしくは署名が一致しなければ、処理されない」とジェイコブス氏はAFPに述べた。

 また、有権者は自分の投票をDCBOEのウェブサイトで追跡できる仕組みになっており、署名が承認されたかどうかもこのサイトで確認可能だ。