【10月13日 AFP】大統領選の選挙戦を闘うさなか、新型コロナウイルスに感染し、得意とする遊説を10日間中断していたドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が12日、フロリダ州で選挙活動を再開した。トランプ氏は支持者らに、健康状態は非常に良く「力がみなぎっている」とアピールした。

 民主党のジョー・バイデン(Joe Biden)前副大統領と対決する大統領選まで残すところあと22日。

 1週間前に退院したばかりのトランプ氏は、オーランド(Orlando)近郊サンフォード(Sanford)で行われた選挙集会で、1時間にわたって演説。「私は感染を体験し、今は免疫がある」「力がみなぎっている。会場の皆さんのところまで歩いて行って、全員にキスをしたいぐらいだ。男性にも、美しい女性にも、思い切りキスしたい」と語りかけた。声援を送る支持者の多くはマスクを着けていなかった。

 フロリダ遊説に先立ち、トランプ氏専属の医師団は、トランプ氏の検査結果は陰性で周囲が感染する恐れはないと発表した。ただし、「免疫がある」というトランプ氏の主張は裏付けられていない。

 世論調査でバイデン氏に大きく引き離されているトランプ氏は、フロリダを皮切りに4日間で激戦州4州を歴訪し、巻き返しを図ろうとしている。

 フロリダでの演説ではいつもの論調で、ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)元米国務長官を「いかさまヒラリー(Crooked Hillary)」と呼んだり、「腐った」メディアと発言したりして激しく攻撃し、「極左」や「社会主義者の悪夢」の危険を強調。

 またトランプ氏とは異なり、新型コロナウイルス流行に伴う公衆衛生ガイドラインに従い、ソーシャルディスタンシング(対人距離の確保)を取り入れた選挙活動を展開しているバイデン氏を「スリーピー・ジョー(Sleepy Joe)」と呼び、バイデン氏の選挙演説には「実際、誰も来ていない」とやゆした。

 トランプ氏の集会や行事は対照的に大勢の聴衆がマスクなしでひしめき合っている。専門家らは、トランプ氏がホワイトハウス(White House)で最近開催した祝賀行事を「スーパースプレッダー」と称している。(c)AFP/ Chris Lefkow