【10月13日 AFP】11月3日の米大統領選が迫る中、新型コロナウイルスの影響で急増している郵便投票をめぐるミスが相次いでおり、米国は公正な選挙の実施能力を問われている。選挙情勢を追跡しているフロリダ大学(University of Florida)の「米選挙プロジェクト(US Elections Project)」によると、今回はすでに1000万人以上の有権者が期日前投票を済ませている。3週間前の時点としては記録的なペースで、新型ウイルス感染を懸念し、郵便投票が激増していることが一因だという。

 同プロジェクトが12日に発表した今回の郵便投票の申請数およびこれまでの送付数は、計7500万票近くに上っており、前回2016年大統領選時の3300万票の2倍以上となっている。

 だが、投票用紙の印刷ミスや送付の遅れ、投棄のような不適切な扱い、さらには投票用紙が複数届いたといった有権者からの報告などが重なり、郵便投票自体が非難される事態を招いている。

 オハイオ州やニューヨーク州で送付された投票用紙では、有権者名や同時に行われる下院選の候補者名の印刷ミスが数万件単位で発生。ペンシルベニア州では投票用紙がごみ箱に捨てられる事例も見つかった。集計をめぐる訴訟も早くも多数起きている。

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領は郵便投票は不正の温床だと主張しており、集計に異議を唱えると明言している。

 大統領選の主要州の一つ、オハイオ州のコロンバス(Columbus)で9日、誤った候補者名が印刷された下院選の投票用紙が約5万人に送付されていたことが明らかになると、トランプ氏は「どうしようもない。不正選挙だ!!」とツイッター(Twitter)で攻撃した。

 ただし、専門家によると、報道ではこうしたミスが大きく取り上げられているものの、郵便投票はこれまでのところ順調に進んでいるという。

■訴訟の懸念

 こうした混乱がある上に、さらに11月3日の大統領選当日にも問題は起こり得る。郵便投票を支援する全米在宅投票研究所(National Vote at Home Institute)のアンバー・マクレイノルズ(Amber McReynolds)氏は、選挙結果を左右する激戦州3州(ウィスコンシン、ペンシルベニア、ミシガン)は現在、郵便投票の開票・確認・集計作業が間に合っていないと指摘している。

 米シンクタンク、アメリカンエンタープライズ研究所(American Enterprise Institute)のケビン・コサル(Kevin Kosar)氏は、郵便投票の集計方法やその他の手続き的な問題をめぐり、何百件もの訴訟が起きる可能性を懸念している。

 世論調査では、民主党員の方が共和党員よりもはるかに郵便投票が多いとの結果が出ていることから、共和党は特に郵便投票の影響を抑え込もうとしている。(c)AFP/Paul HANDLEY