【10月12日 東方新報】中国黄金協会がこのほど発表した「中国黄金年鑑2020」によれば、中国の金産出量は連続13年世界首位。また、金鉱の勘探作業にも力を入れており、金埋蔵量も2019年末時点で、前年より492.66トン増(3.61%増)の14131.06トンに上ることが明らかになっている。

 金の鉱脈は地質勘探作業の周期が長く、投資の大きさのわりに成果が見えるのが遅い。年鑑によれば中国は長年金鉱地質勘探に力を注ぎ続けてきた結果、ようやく2012年から2019年まではその埋蔵量が消費を差し引いたベースで安定的に増加してきたという。2012年時点では、中国の金埋蔵量8196.24トンだった。

 2019年の中国の金産出量は380.226トン(輸入原料としての金を含めず)で、前年同期比20.894トン減(5.21%減)だった。とはいえ、2007年以降、中国の金産出量は13年連続世界首位だった。

 中国の金埋蔵量自体は今のところ世界トップ10にも入っていないが、金保有量は急増しており、業界団体ワールド・ゴールド・カウンシル(World Gold CouncilWGC)の統計によれば、世界の金備蓄量ランキングでは、米国、ドイツ、イタリア、フランス、ロシアに続く第6位。

各国の金保有量は、米国(8134トン)、ドイツ(3367トン)、イタリア(2452トン)、フランス(2436トン)。この四か国は金保有量が外貨準備の60%以上を占めるという。中国の金保有量は1937トンで、外貨準備に占める割合はまだわずか3%。

 中国人民銀行(People's Bank of China、中央銀行)は米国債などを売り、かわりに金を大量購入しており、昨年12月から7か月連続で金保有を急増させている。

 米国との金融戦争に対する備えとして、ドル資産を減らし安全資産の金を増やそうということだろう。

 ワールド・ゴールド・カウンシルによれば2019年の世界の中央銀行の金購入量は過去最高を記録した2018年と同規模の650トン。中国だけでなく世界中が金を買いあさっている。その一方で金の生産総量は2019年、前年比1%減少し、3531トンとなった。わずかとはいえ金生産量が減少するのは2008年以来だ。一部専門家たちは、金の採掘量がそろそろ上限に達しているといい、今後緩やかに金生産量は減少していくとみている。

 金価格は2020年8月に1オンス2000ドル(約21万円)の大台を突破し、史上最高値を更新したが、米中対立が先鋭化するなか、中国が外貨準備を米国債から金という安全資産にシフトしていこうとする傾向はさらに強まり、金の高騰はしばらくつづきそうだ。 (c)東方新報/AFPBB News