【10月12日 AFP】ベラルーシの首都ミンスクでは、週末恒例の大規模デモが11日も行われ、警察は放水銃と閃光(せんこう)発音筒(スタングレネード)を使用してデモ隊を鎮圧し、参加者を多数拘束した。10日にアレクサンドル・ルカシェンコ(Alexander Lukashenko)大統領が刑務所を訪れ、拘束下にある反体制派の活動家らと面会したことで変化への期待が生じていたが、当局の対応はこれまでのデモの中でも強硬なものとなった。

 独立系ニュースサイトは、黒服の覆面警官や内務省の治安部隊、私服の男たちが大勢、小型バスでミンスクの抗議デモ現場に乗り付け、デモ隊に突進して参加者を地面に引き倒したり、警棒で殴ったりする映像を報じた。目撃者が撮影した動画だという。

 救急隊が負傷者を手当てする映像には、血を流す人に包帯を巻く様子も捉えられていた。

 反政府系新聞「ナーシャ・ニーバ(Nasha Niva)」の記者が撮影した動画には、内務省部隊がデモ参加者に銃口を向けて駆け寄り、脅すような様子も映っていた。

 政治デモ参加者の拘束状況を監視している人権団体「ビアスナ人権センター(Viasna Human Rights Centre)」によると、11日はミンスクで約250人、その他各都市で合わせて35人ほどが拘束された。

 ロシアのタス通信(TASS)の記者らも拘束されたが、のちに解放されたと同社は伝えている。

 ベラルーシでは8月9日の大統領選でルカシェンコ大統領が勝利宣言して以来、毎週末デモが行われている。野党候補だったスベトラーナ・チハノフスカヤ(Svetlana Tikhanovskaya)氏は、真の勝者は自身だと主張。支持者らはルカシェンコ氏の退陣を求め、デモを続けている。11日のデモは「誇りのための行進」と題され、雨の中にもかかわらず傘を差した人々が大勢参加した。

 欧州連合(EU)と米国は、8月の大統領選は自由でも公正でもなく、拘束されたデモ参加者らが虐待や拷問を受けているとして、ルカシェンコ氏の6期目就任を承認していない。

 10日のルカシェンコ氏の刑務所訪問について、政府の公式発表は、変化を求める国民の声に応えて同氏が提示している憲法改正案の協議のためだったとしている。一方、野党側はルカシェンコ氏の弱気の表れであり、デモ隊との妥協点を探ろうとしていると歓迎。チハノフスカヤ氏はソーシャルメディアに、ルカシェンコ氏が「犯罪者呼ばわりしていた政治犯の存在を認めた」と書き込んだが、「独房では対話はできない」とも指摘していた。(c)AFP