【10月12日 AFP】11日に行われた全仏オープンテニス(French Open 2020)男子シングルス決勝でラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)にストレートで敗れた世界ランキング1位のノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)は試合後、キャリアを通じて「大敗」から他の何よりも学びを得てきたと語った。

 驚異の13回目の全仏制覇を果たしたナダルが、四大大会(グランドスラム)のタイトル数をロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)と並ぶ男子歴代最多の20に伸ばした一方、同大会で4度目の準優勝となったジョコビッチは、すべてのグランドスラムを2回以上制した約半世紀ぶりの選手になることはできなかった。

 通算56回目となったナダルとの一戦に0-6、2-6、5-7で敗れたジョコビッチは、「今回のような負けはいつだって楽しくない。でも大敗の中で、テニス選手として、そして人としても最高の学びを得られる」と話した。

 ジョコビッチはナダルとの直近18戦で14勝を挙げ、ナダルが全仏で喫した2敗のうちの一つとなった2015年大会の準々決勝を含む、グランドスラムでの最近3戦も勝利していた。

 しかし、全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2020)は新型コロナウイルスを理由に欠場していたナダルがこの日はジョコビッチを粉砕。ジョコビッチが52本のアンフォーストエラーを犯したのに対し、自身は同14本に抑えて一方的な試合を披露した。

 これでグランドスラム決勝の舞台では17勝10敗となったジョコビッチも、「ラファが完全に自分を上回っていたし、コートの上でより良い選手だった」と認めた。

「特に第1、第2セットは自分がもう少し良いプレーができたというのも確かだけど、とにかく彼のプレーに驚かされた」「彼が生み出していたテニスの質と言いレベルと言い、並外れていた。相手が完璧な試合をした」

 ナダルは大会前、調整不足や、新型ウイルスの影響で開幕が約4か月遅れたことで例年より気温が低くなったコンディションを理由に挙げ、連覇を果たすのはこれまでで最も難しくなるだろうと話していた。

 また、この日の試合前には小雨が落ち、会場のコート・フィリップ・シャトリエ(Court Philippe-Chatrier)の屋根が閉じたことで、ジョコビッチが有利になるのではないかとみられた。

 今季は失格となった全米オープン以外負けなしだったジョコビッチ本人も「こうしたコンディションは自分に有利だと思っていた」と認めたが、「でもラファがみんなが間違っていたことを証明した。それが彼が偉大なチャンピオンであるゆえんだ。とにかくきょうは彼が見事な試合をした」と勝者をたたえた。(c)AFP/Martyn WOOD