【10月12日 Xinhua News】中国科学技術大学(University Of Science And Technology Of China)の季恒星(Ji Hengxing)教授の研究チームがこのほど、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校、中国科学院化学研究所などと協力し、新しいタイプの黒リン複合材料を開発した。電気自動車の発展には充電速度の遅さと航続距離の短さを解決する必要があるが、同材料の使用により、9分間の充電で約80%まで電力量を回復でき、高速充電、高電荷容量、長寿命という長所を併せ持つリチウムイオン電池の製造が可能になる。国際的学術誌「サイエンス(Science)」が9日、この成果を発表した。

 黒リンは白リンの同素体で、特殊な層状構造によって強いイオン伝導能力と理論的に高い電荷容量を付与され、「高速充電」電極材料として大きな潜在力を持つが、層状構造の縁部から破壊が起きやすく、実測性能は理論上の予測よりはるかに低い。季教授のチームは最近、「界面工学」戦略を取り、石墨と黒リンを炭素-リン共有結合によってつなぎ、構造を安定させるとともに黒リン石墨複合材料内部におけるリチウムイオン伝導性を引き上げた。

 電極材料は作業過程で、電解液が分解した化学物質に包まれ、ガラス表面のほこりが光線の透過を妨げるのと同様に、一部の物質がリチウムイオンの電極材料への進入を妨げる。共同研究チームは軽くて薄い高分子ゲルで「防じん服」を作り、黒リン石墨複合材料の表面に「着せ」、リチウムイオンが順調に入れるようにした。

 中国科学院化学研究所の辛森(Xin Sen)研究員は「われわれは通常のテクノロジー路線と技術パラメーターを採用し、黒リン複合材料を電極片に仕上げた。実験室での測定の結果、電極片は9分間の充電で約80%まで電力量を回復でき、充電を2千回繰り返しても電荷容量の90%を維持できることが分かった」と述べ、同材料の大規模生産が実現され、適合する正極材料やその他の補助材料が見つかり、セル構造、熱管理、リチウム析出防護などについて最適な設計を行うことができれば、エネルギー密度が1キロ当たり350ワット時に達し、しかも高速充電が可能なリチウムイオン電池を得られる見通しだと説明した。

 1キロ当たり350ワット時のエネルギー密度を持つリチウムイオン電池は、電気自動車の走行距離を千キロに近づけられ、高速充電能力と合わせて、電気自動車の利用者体験を大幅に高めるという。

 季教授は「われわれは総合性能指標の面で業界に期待を与えることができ、工業化された生産工程にも対応できる電極材料を発見したい」とした上で、チームは新材料のミクロ構造、理化学的性質および電気化学反応プロセスなどの基礎科学問題を一段と深く認識し、産業界の電池材料性能への需要を把握して、電気自動車、家電製品などの業界で新材料の応用を推し進めると述べた。(c)Xinhua News/AFPBB News