【10月12日 AFP】全仏オープンテニス(French Open 2020)は11日、男子シングルス決勝が行われ、大会第2シードのラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)が6-0、6-2、7-5で第1シードのノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)を破って13度目の大会制覇を果たし、男子歴代最多タイとなる四大大会(グランドスラム)通算20勝目を挙げた。

 グランドスラムの優勝回数で並ばれたロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)も試合後、「スポーツ界における最大の偉業の一つ」としてナダルの優勝をたたえている。

 34歳のナダルにとっては、これが2005年のローラン・ギャロス(Roland Garros、全仏オープン)初出場以来マッチ通算100勝目で、敗れたのはわずか2回のみとなっている。この日はジョコビッチが52本のアンフォーストエラーを記録したのに対し、自身はわずか同14本に抑えて一方的な試合を披露した。

 一方、世界ランキング1位のジョコビッチは、四大大会通算18勝目、そしてロッド・レーバー(Rod Laver)氏が1969年に達成して以来となる各グランドスラムの複数回制覇を阻まれた。

 1セットも落とさずに今大会を制したナダルは、試合後のスピーチで「再び素晴らしい大会を送ったノバクをたたえたい。きょうは残念だったけれど、自分たちは何度も対戦し、ある日はどちらかが勝ち、またある日は別の方が勝ってきた」とジョコビッチを称賛し、「けがをしながら、キャリアを通じていろいろなことを乗り越えてきたが、家族なしではできなかった」と感謝した。

 また、新型コロナウイルスの懸念で全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2020)を欠場し、2月の後ではこれがわずか2大会目だったナダルは、フェデラーの記録に並ぶことについては考えていなかったと明かし、「非常に厳しい年になっている。自分にとって重要なのはここで優勝することで、ロジャーと20勝で並ぶことではない。きょうはローラン・ギャロスでの勝利がすべてだ」と付け加えた。

「自分にとってはローラン・ギャロスが本当に大切。テニスでのキャリアで経験した大きな瞬間は、大半がここでのものだ」「ここでプレーすることは真の刺激だ。自分とこのコートと街とのラブストーリーは信じられない」

 ナダルはまた、新型ウイルスのパンデミック(世界的な大流行)の影響により、例年の5〜6月から遅らせて開催にこぎ着けた大会主催者側にも感謝した上で、「世界中の人々にメッセージを送りたい。私たちは今ウイルスと闘い、未曽有の最悪の危機に直面しているが、前に進み続けながら、前向きでいよう」「私たちは絶対に乗り越えられるし、もうすぐこのウイルスに打ち勝てるはずだ」と語った。

 フェデラーも長年の好敵手で、親しい友人でもあるナダルの偉業をすぐに称賛し、「ラファのグランドスラム20勝目を祝福できて本当に光栄だ」「ローラン・ギャロスを13回も制すなんて本当に信じられないし、特に見事だ。スポーツ界における最大の偉業の一つだ。20勝目が、お互いにとってこれからも続く旅の通過点にすぎないことを願っている」とした。フェデラーは、膝の手術からの回復に努めるため、今大会を欠場している。

 一方、失格に終わった全米オープンに続き、今年のグランドスラムで2敗目を喫したジョコビッチは、「きょうはラファがクレーの王様たるゆえんを示した。より優れた選手に上回られた」と語った。(c)AFP/Dave JAMES