【10月11日 AFP】北朝鮮は10日、朝鮮労働党創建75年を記念する軍事パレードを行い、世界最大とみられる新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)を公開した。パレードでは、新型コロナウイルスの脅威にもかかわらず、数千人の兵士がマスクを着用せず参加した。

 国営朝鮮中央テレビ(KCTV)が放送した映像によると、ICBMは片側11輪の車両に搭載され、金日成広場(Kim Il Sung Square)を行進。金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-un)朝鮮労働党委員長は演壇上からパレードを閲兵した。

 公開されたICBMについて、複数のアナリストは世界最大の移動式液体燃料ミサイルだと指摘。米シンクタンク、センター・フォー・ナショナル・インタレスト(Center for the National Interest)のハリー・カジアニス(Harry Kazianis)氏は「北朝鮮が保有する兵器の中で最大かつ最強」だとの見解を示した。

 金氏は演説で、北朝鮮は「自衛的正当防衛手段としての戦争抑止力を引き続き強化していく」と宣言。「われわれにもし力がなければ、拳を振り上げても流れる涙と血を拭うしかない」と述べた。映像では、女性らが金氏の演説中に涙を拭う様子も放送された。

 北朝鮮は、国際社会からの厳しい制裁に加え、新型ウイルスのパンデミック(世界的な大流行)と相次ぐ台風の襲来に直面している。医療体制の整っていない同国は大規模な感染拡大に対応しきれない恐れがあり、金氏は1月、新型ウイルスの発生源となった中国との国境を封鎖した。

 新型ウイルスの感染者は世界で3600万人に上っているが、金氏は演説で、同国では「悪性ウイルス」の感染者は一人も出ていないと主張。国民の努力に対する感謝の意を繰り返し表明した。

 米国政府の元北朝鮮アナリスト、レイチェル・ミニョン・イ(Rachel Minyoung Lee)氏は、「金氏は演説で、声を詰まらせたり、涙ぐんだりする様子さえも見せた」と指摘。今回の演説は「私たちが長年にわたり見てきた紋切り型演説」とはかけ離れたものだったと述べた。(c)AFP