■ミシガン州知事の拉致を計画したのはどんな人物?

 今回、逮捕された13人の多くは「ブーガルー」の信条を支持しており、このうち数人は最近立ち上げられた地元の武装組織「ウルヴァリン・ウォッチメン(Wolverine Watchmen)」のメンバーだった。

 ブーガルーは、組織も統率者も持たず、銃の文化をめぐって大まかに形成されたイデオロギーで、左派や独裁的な政府との闘争や、人種間の闘争が近いという考えを指す。ミシガン州立裁判所の記録では、ブーガルーは「反政府暴動、または政治的理由による差し迫った内戦」を意味する言葉として使われている。

 ウルヴァリン・ウォッチメンは、「ブーガルーに備える」ためとして、たびたび銃の訓練を実施していた。逮捕者のうち何人かは今年、ミシガン州のグレッチェン・ウィットマー(Gretchen Whitmer)知事が発表した新型コロナウイルス対策に抗議するデモに複数の武器を所持して参加し、規制は権利の侵害だと訴えていた。

■国内のテロの脅威

 FBIは2019年以降、極右、単独行動者、ミリシアを国内最大級のテロの脅威と見なしている。この3年間、イスラム過激派による国内の死者は少数にとどまっているのに対し、こうした勢力による死者数は数十人に上っている。

 FBIのクリストファー・レイ(Christopher Wray)長官は9月、白人至上主義者らが暴力的な過激主義による脅威の中心を占めているとの考えを示したが、今年に入ってからは、反権力、反政府を唱える極右勢力による死者数が増えている。

■ミリシアが大統領選を脅かす可能性は?

 可能性としては、あり得る。トランプ氏は自身の支持者に向けて、自分の票を「守る」ため投票所に行くよう繰り返し訴えてきた。

 トランプ氏は、9月末に行われた民主党候補のジョー・バイデン(Joe Biden)前副大統領とのテレビ討論会で、「私の支持者には、投票所に足を運び、注意深く見張るよう呼び掛けている。なぜなら、そうするべきだからだ」と主張した。

 この討論会でトランプ氏は、極右の武装組織プラウド・ボーイズに「下がって待機せよ」とも呼び掛けた。これに対して同組織の幹部ジョー・ビッグス(Joe Biggs)氏はソーシャルメディアでの投稿で、「準備万端です、サー」と応じている。(c)AFP