【10月10日 AFP】米ミシガン州で知事の拉致を計画し、「内戦を画策」した容疑で13人が逮捕されたことを受け、ドナルド・トランプ(Donald Trump)政権下で台頭している「ミリシア」と呼ばれる極右武装勢力が改めて注目を集めている。

 米連邦捜査局(FBI)は、こうした武装市民集団は米国にとって国内最大の脅威になるとしているが、トランプ氏が一部の勢力を助長しているとの見方もあり、11月3日に行われる米大統領選の前後で政治絡みの暴力行為が発生するのではないかと不安視されている。

■ミリシアの正体は?

 米国には昔から、右派の武装組織という小集団が存在し、活動する動機はさまざまだ。

 トランプ氏が大統領に就任して以降は、このような組織の多くがおおっぴらに活動を始めるようになった。悪名高い例では、2017年の米バージニア州シャーロッツビル(Charlottesville)での右派集会「ユナイト・ザ・ライト(Unite the Right)」、今年に入ってからは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連の規制に抗議するデモへの参加、さらに、人種間の平等を求める「Black Lives Matter(黒人の命は大切)」のデモ参加者に重装備で対抗したことなどで知られる。

 特に有名な組織は「スリー・パーセンターズ(Three Percenters)」「オウス・キーパーズ(Oath Keepers)」「プラウド・ボーイズ(Proud Boys)」「ブーガルー・ボア(Boogaloo Bois)」「パトリオット・プレーヤー(Patriot Prayer)」など。反権力や反左派を唱えたり、銃を所有する権利に賛成したりするなど、さまざまなイデオロギーで連帯している。

 ネオナチ(Neo-Nazi)運動とつながる白人至上主義者もいれば、警察や政府を権威主義的だと敵視する人々や、民族革命、すなわち人種間闘争への備えを訴える人々もいる。さらに、「ディープステート(闇の政府)」がトランプ氏を脅かし、児童誘拐に民主党関係者が関与しているといった根拠のない「Qアノン(QAnon)」と呼ばれる陰謀論を支持する人々もいる。

 各組織の支持者がどれほどいるのかは誰にも分からないが、研究者らは、優に数千人は超え、全米各地に存在してソーシャルメディアと暗号化されたメッセージを介してつながっていると指摘する。