【10月10日 AFP】米国のマイク・ポンペオ(Mike Pompeo)国務長官は9日、中国の宗教弾圧の問題に「真剣に」取り組むようローマ教皇庁(バチカン)に求めた。ポンペオ氏は先週ローマを訪れたが、ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇(Pope Francis)との会談は行われなかった。

 福音派プロテスタントで中国に批判的な立場を取るポンペオ氏は、ラジオのインタビューで、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領が11月の大統領選で取り込みを図りたい保守的なカトリック信者らが英雄視するヨハネ・パウロ2世(John Paul II)に言及し、「欧州で自由を生み出し、旧ソ連を解体させ、旧ソ連に抑圧されていた人々に自由を与える重要な役割を果たした」と主張。

 また、フランシスコ教皇を念頭に「われわれには今、同じような道徳の証人が必要だ」と述べ、「ローマ教皇は世界の善のための強力な力であり、真剣で思慮深く、教皇が固く持つ信念と一致したやり方で、このことを話してもらう必要がある」と強調した。

 バチカンはフランシスコ教皇がポンペオ氏と会わなかったことについて、選挙期間中の国の高官と会うことは控えていると説明。また、中国と開かれた関係を築こうとするフランシスコ教皇の姿勢に対し、ポンペオ氏が公然と非難したことに驚いたとしている。

 公式に無宗教を国是とする中国政府は、宗教信仰を厳格に管理している。だが、バチカンが中国と2018年に結んだ合意の下、フランシスコ教皇は中国側が推奨した司教を任命する権限を再び得た。

 ポンペオ氏はローマ滞在中、在バチカン米大使館が主催したシンポジウムで「すべての宗教指導者が宗教弾圧に対抗する勇気を見いだす」よう呼び掛けた。(c)AFP