【10月11日 Xinhua News】中国浙江省(Zhejiang)の農村では、農薬散布器を背負った農家が減り、田畑の上を穏やかに飛ぶ農業用ドローン(小型無人機)が次第に増えている。

 船舶操縦士だった徐躍(Xu Yue)さん(28歳)は3年前、故郷の浙江省金華市(Jinhua)に農作物保護テクノロジー企業を設立。周辺地域にドローンによる農作物保護サービスを主に提供している。

 徐さんは「今では多くの農家が自らドローンを購入しているが、ドローンのスマート化レベルはますます高まっており、彼らには専門的なトレーニングが必要だ」と説明した。

 1990年生まれの尚年軍(Shang Nianjun)さんは昨年、ドローンを使った種まきを試験的に行ったが、その結果に満足している。尚さんは「800ムー(約53ヘクタール)の種まきが2~3日で終わった。人間が機械を使ってやったら、一人で20日間はかかるだろう」と語った。

 浙江省から約1千キロ離れた河南省(Henan)安陽市(Anyang)では、地元の農村がドローン農作物保護サービス大隊を組織し、新技術を使って農家を豊かにしようとしている。2018年には、農家のドローン操縦士の年収は20万元(1元=約16円)を上回った。

 農業専門家は、ハイテクとスマート化が従来の伝統的な農業方法を変え、新しいタイプの農業の効率を高めたと指摘した。

 尚さんは、人の手による従来の施肥と比べ、ドローンによる施肥はより均一かつ正確で、1ムー(約667平方メートル)当たり7・5キロの肥料が節約できると説明。従来の方法で種まきと施肥を行うと、1年間に必要な人件費はドローン使用料の3倍前後になると述べた。

 徐さんは、ドローンによる農作物保護は効率が高く、農薬散布の安全性もこれまでより高いと指摘。ドローンがさらにスマート化しており、今では農家が負担できるほど価格も下がっていると説明した。

 一部の職業技術学校でもドローン応用専攻を開設し、より多くの専門的な操縦士を育成している。

 中国ではドローン産業が一層多くの人の注目を集めている。浙江智天科技は農業用ドローンの研究開発と製造を行う会社で、責任者の陸東明(りく・とうめい)さんによると、年間500~600台の農業用ドローンを販売しており、売上は2千万元余りになるという。

 専門家は、農業が既にスマート化・情報化・機械化へと発展しており、長期的にはドローンが農業生産の必需品になり、将来は1兆元市場に成長する可能性があると指摘している。

 陸さんは「われわれのドローンは北斗ナビシステムとGPSナビシステムを搭載している。現在、中国では約2万台の農業用ドローンが稼働しており、今後10年で10万台以上になると予測している」と語った。(c)Xinhua News/AFPBB News