【10月10日 AFP】ドイツ・ベルリン中心部で9日、同市でわずかに残る不法占拠住宅からの立ち退きに反対する抗議デモが行われ、夜には暴動に発展した。空き家の不法占拠は、ベルリンでは自由な空間の象徴とされている。

 ベルリン当局は、同市フリードリヒスハイン(Friedrichshain)にあるリービッヒ34(Liebig34)区の住民を退去させるため、多数の警官を動員。フリードリヒスハインは、旧東ベルリンの流行最先端にある地域に位置し、現在、不動産価格が急騰している。

 抗議デモは当初、平和的に行われていた。だが夜になると、土砂降りの雨の中、マスクと黒服姿の多数のデモ隊が繁華街のミッテ(Mitte)区から横断幕を持って行進。横断幕には、「自由な空間を守れ、攻勢を続けよ」と書かれていた。

 警察によると、その後、店の窓や車が放火される事態が起き、瓶で殴打される警官もいた。

 ベルリンの壁(Berlin Wall)が崩壊した後、旧東側の空き家地区は学生や若者、芸術家や活動家らに占拠され、一部の不法占拠はその後、住宅事業として合法化された。

 建物の正面をグラフィティアートや横断幕で覆い、「アナキスト・同性愛者・フェミニスト」への賛意を示しているリービッヒ34の住居ビルは、リービッヒシュトラーセ(Liebigstrasse)通りの角に位置する。このビルは1999年以降、女性やトランスジェンダー、インターセックスの人々、約40人を受け入れ、避難所の役割を果たしてきた。

 バーや自営の文化センターは、家賃の一部を集めようと同ビルの人々を支援。しかし、ビルの所有者は2018年、リービッヒ34の賃借契約を打ち切る決定を下した。

 住民が退去を拒否したことを受け、所有者は訴訟を起こし、勝訴。9日に立ち退きの実施に至った。(c)AFP