【10月18日 AFP】若くして世を去った現代アートの異端児ジャンミシェル・バスキア(Jean-Michel Basquiat)の未発表作とされる絵画35点を集めた展覧会が、フランス・ブルゴーニュ(Burgundy)地方の村で9月に始まった。本物ならまさに値の付けようのないほど貴重な品々だが、真贋(しんがん)をめぐって少なからぬ専門家が眉をひそめている。

 グラフィティアーティストだったバスキアは、アンディ・ウォーホル(Andy Warhol)に見いだされたが、1988年にヘロインの過剰摂取により27歳の若さで死去した。

 展覧会は、ワイン名産地の真ん中に位置する村、ニュイサンジョルジュ(Nuits-Saint-Georges)にある画廊「ボルカーノ(Volcano)」で開催されている。素朴な石造りのギャラリーでは、「これまで一般公開されたことのない作品ばかりだ」と店員が説明していた。

 確かに、いずれも奔放な画風がバスキアと一致しており、シンボルの「王冠」が描き込まれた作品も多い。

 ボルカーノの支配人らは現在、取材には応じていない。だが当初は、これらの作品について、贋作(がんさく)と考える理由はないとのお墨付きを「複数の専門家」から得たと主張していた。ただし、その専門家の名前は明かしていない。

 一方、1994年の国際現代アート見本市(FIAC Hors les Murs)でバスキアの贋作3点を発見したことで知られるパリ在住の美術品収集家、リシャール・ロドリゲス(Richard Rodriguez)氏は「詐欺だ。粗雑に描かれた偽物だ」と一蹴した。

 ロドリゲス氏は、現地に足を運んで鑑定したわけではないものの、テレビのニュースで見ただけで一目瞭然だったと主張。「わざわざ見る必要はない。あまりにも粗雑で、(贋作であることは)明白だ」と述べている。

 アフリカ系米国人アーティストに詳しい専門家で、ルクセンブルクでギャラリーを経営するノルディン・ジドゥン(Nordine Zidoun)氏も、ボルカーノで展示されている作品が本物だという可能性は「あり得ない」と断言した。4年前にバスキアの一大企画展を主催した同氏は、バスキア作品には「90%」に本人の署名が入っているのに、今回公開された絵画には一切署名がないと指摘している。