■バスキアの友人が所有? 「鑑定者」は今夏に死去

 こうした疑義の声に対し、ボルカーノの経営者らは、注目を集めたい人々が中傷しているだけだと反発している。

 バスキアの評価は近年、急激に高まった。オークションでは高額取引の対象で、今年6月に米ニューヨークで競売大手サザビーズ(Sotheby's)が開いた競売でも、頭部を描いた絵画「無題」が1520万ドル(約16億円)で落札された。

 ボルカーノ側の主張によれば、今回の「貴重な発見」はブルゴーニュ地方を拠点に活動するアーティストのドミニク・ビアノ(Dominique Viano)氏が、複数の収集家から入手したもの。もともとは、バスキアの友人だった米俳優ダニー・ローゼン(Danny Rosen)氏が所有していた品だという。

 しかし、ダニー氏の姉でニューヨークを拠点とする美術修復家のリサ・ローゼン(Lisa Rosen)氏は、「その来歴はばかげている」と述べた。ダニー氏が35点ものバスキアの絵画を所有したことは一度もないという。

 ビアノ氏も現在取材に応じていないが、9月に国営テレビ局フランス3(France 3)が取材した際には、パリのバスキア専門家エンリコ・ナバラ(Enrico Navarra)氏ら複数の専門家の鑑定で本物だと証明されたと話していた。

 だが、ナバラ氏はこの夏に亡くなっており、同氏のパリの画廊を相続した息子ドリアノ・ナバラ(Doriano Navarra)氏はビアノ氏の主張を否定。「われわれは、いかなる証明もしていない」と反論している。

 仏当局は今のところ捜査に踏み切ってはいないが、地元警察はパリにある国の美術品密売取り締まり機関にこの一件を警告したという。(c)AFP/Loïc VENNIN