【10月9日 AFP】米大統領選まで1か月を切り、激戦州ペンシルベニア州の最大都市フィラデルフィア(Philadelphia)では多くの有権者が、ジョー・バイデン(Joe Biden)前副大統領に一票を投じようと期日前投票の列をつくっている。長蛇の列の光景は、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領をいら立たせることになりそうだ。

 フィラデルフィアは民主党の地盤。市役所前には今週、マスク姿の有権者らが行列をつくり、自治体職員や警官の見守る中、バイデン氏に票を投じた。

 ペンシルベニア州では今年、新型コロナウイルスの流行を受けて史上初めて、州内在住の全有権者が郵便投票を申請できるようになった。記入した投票用紙は郵便で返送してもよいが、開票結果に確実に反映させたい人は、期日前投票所に行けば自分の手で票を投じることができる。

 9月29日に期日前投票所が開設されて以降、既に数千人規模の市民が投票を終えた。選挙日の11月3日を待たずに投票する人は数十万人に上るとみられている。

 並んでいた有権者の高齢男性は、トランプ氏が投票所の監視を呼び掛けるなど政治的緊張が高まっている中で「より安全」な方法として期日前投票を選んだと説明。「私は、トランプ氏が怖い。同氏を神と考え、いら立っている人たちが怖い。彼は米国にとって危険な存在だと思う」と語った。

 トランプ氏は、フィラデルフィアで大統領選の不正が行われる恐れがあると主張している。同氏は9月29日に開催されたバイデン氏とのテレビ討論会で、「悪いことがフィラデルフィアで起きている」と主張。期日前投票所で許可なく携帯電話で動画撮影をした自身の支持者が追い出されたと述べた。

 これまでフィラデルフィアでは一度も不正行為は確認されていない。それでも、地元の共和党関係者は不正が行われるかもしれないとの主張を続けている。(c)AFP/Catherine TRIOMPHE