■「他に方法がない」

 西ジャワ(West Java)州チアンジュール(Cianjur)で8年以上にわたって鎖につながれていたソディキンさん(34)は、2016年に解放された。

 投薬治療と適切な助言を組み合わせた結果、ソディキンさんの回復は目覚ましく、2018年には衣料品工場で働き始め一家の大黒柱となった。

 しかし、ソディキンさんは今、新型ウイルスによる外出制限のせいで投薬治療や地域に根ざした精神障害者支援を受けられず、再び拘束されている。

「何年も調子が良かったのに、パンデミック以降、手がつけられなくなってしまった」と兄のムスタファさんはAFPに語った。「他に方法がなかった。薬を飲んでいれば問題ないが、薬が切れると手に負えない」

 AFPの記者が訪問した西スラウェシ州では、4人の子どもの父親であるアフマドさん(38)が納屋で、手と足を鎖でつながれた状態で眠っていた。

「治療のためのお金がまったくない」と兄弟のヌルディアンさんはいう。「パンデミックの前から私たちは苦しんでいた。(中略)状況はさらに厳しくなっている」

「こうすればアフマドのことを心配せず、田畑に仕事に行くことができる」とも、ヌルディアンさんは言った。「こんなふうに鎖につながれた姿を見るのは悲しい、でもこれが私たちができる唯一の方法なんだ」 (c)AFP/Alimuddin Abdillah / With Haeril Halim in Jakarta