【10月8日 AFP】(更新)来月の米大統領選に向けた共和党のマイク・ペンス(Mike Pence)副大統領と民主党のカマラ・ハリス(Kamala Harris)上院議員による副大統領候補テレビ討論会が7日、米ユタ州ソルトレークシティー(Salt Lake City)で開催された。ハリス氏は、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領政権の新型コロナウイルス対策は歴代の米政権で「最大の失敗」だと批判した。

 トランプ氏が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で入院したことで副大統領の役割の重要性が改めて注目される中、ペンス氏とハリス氏は感染対策のため設置された透明な仕切り板を挟んで討論を行った。

「米国民は、わが国の歴代政権で最大の失敗を目の当たりにした」とハリス氏は述べ、トランプ政権には再選を目指す権利はないと主張。ホワイトハウス(White House)はCOVID-19のリスクを知りながら素早く対応しなかったとして、「大統領は、それ(新型コロナウイルス)はデマだと言った。その深刻さをみくびった」と非難した。

 米国では、これまでに750万人以上が新型コロナウイルスに感染し、死者は21万人を超えた。いずれも世界最多だ。

 これに対しペンス氏は、トランプ氏の信頼性を攻撃することで、ハリス氏は開発中の新型コロナウイルスワクチンに対する国民の信頼を損なっていると批判。「トランプ政権下でワクチンが完成したとしても国民のワクチンへの信頼は損なわれ続けるという事実は、不当だと思う」と反論した。

 ハリス氏は、当選すればアフリカ系米国人としてもアジア系米国人としても初の副大統領となる。ペンス氏は、トランプ氏が民主党の大統領候補ジョー・バイデン(Joe Biden)前副大統領やその家族を猛攻撃するのとは対照的に、落ち着き払った様子でハリス氏の歴史的な副大統領候補指名を祝福した。

 一方でペンス氏は、政策的には民主党本流に近いと広く受け止められているハリス氏を「急進派」と位置づけようと試み、民主党大統領候補選びでライバルだった社会主義者のバーニー・サンダース(Bernie Sanders)上院議員よりも左寄りだと主張。「増税も規制強化も、フラッキング(水圧破砕法)の禁止や化石燃料の廃止、米エネルギー産業の粉砕、中国への経済的降伏も、米国を衰退させる処方箋だ」と述べた。

 両候補は、アフリカ系米国人に対する警察の対応をめぐって米全土に広がった抗議デモや人種差別問題についても激論を交わした。ペンス氏は、バイデン氏が「マイノリティーに対する潜在的な偏見が警察内にあると考えている」のは「警察組織に勤務する男女に対する最大の侮辱だ」と批判した。

 検察官を経てカリフォルニア州司法長官を務めた経歴のあるハリス氏は、「米国の法執行の何たるかについて、ここで副大統領から講義を受けるつもりはない」「私は、今この壇上で唯一、児童性的虐待から殺人まであらゆる訴追を自分で行ったことのある人間だ」と応じた。

 討論会ではペンス氏の頭にハエが止まる一幕もあった。壇上では誰もその点に触れることはなかったが、ソーシャルメディア上ではハエをめぐる投稿が殺到した。(c)AFP