【10月9日 AFP】セネガルの首都ダカールの海岸で5月下旬、ホテル建設用地をつくるために、火山性の丘の中腹が大きな塊として切り出された。

 建設許可を得たという業者が現れ、建設作業員らが作業を始めた──そう語るのは、土地開発に反対する地元団体「フォーラム・ソーシャル(Forum Social)」のママドゥ・ミニャン・ディウフ(Mamadou Mignane Diouf)氏だ。「誰もここに何かを建てるべきではない」。灯台のある丘は保護区だと、ディウフ氏は説明した。

 大西洋に面する人口約300万人の都市ダカールの市街地は急速に拡大しているが、利用可能な土地には限りがある。

 不動産開発業者は何年も前から、絵のように美しいダカールの海岸線を狙ってきた。高級ホテルや高級アパートのために土地開発を進め、建築規制を骨抜きにしてきた。

 だがここへ来て地元住民は、海岸線が破壊されていると不満を漏らしている。開発のせいで、窮屈な街に最後に残った広々とした空間に立ち入れなくなったのだ。

 5月の出来事は住民らの怒りを買い、抗議行動の引き金となった。海岸線の保護について国民的な議論も巻き起こった。

 ダカールを象徴するこの丘は、今や建設現場に取り囲まれている。今回の騒動を受け、地元警察は建設工事を中止させたが、丘の中腹には赤みがかった土地が掘り起こされたままだ。

 ディウフ氏は「彼らはすでに多くを破壊している」と語る。「なぜ少数の特権的な人々は、自分たちだけに海岸を利用し私有化する権利があると考えるのか?」