【10月8日 People’s Daily】中国海南省(Hainan)にある熱帯海洋研究所のサンゴ養殖チームの実験プラットフォームでは、同研究所の陳宏(Chen Hong)所長が率いるチームが採集したサンゴの成体が細かく分けられ、苗床に固定される。しばらくして、これらの苗床は海中に入れられる。昼は実験、夜は研究をしながら、彼らは1つの計画を温めている。海底で100万株のサンゴを育てるのだ。

 鳳凰島の西側の海域ではサンゴ礁が発達しているが、10年前はこの地域のサンゴ礁はほんのわずかで、活着したサンゴを見つけることはさらに難しかった。

 2011年6月8日、鳳凰島サンゴ礁生態系修復プロジェクトが正式に始まった。熱帯海洋研究所研究チームは鳳凰島の西側付近海域の実験区域に、石サンゴの苗を植え付けた人工サンゴ礁を投下した。

 陳宏さんによれば、実験開始後に難題が現れた。鳳凰島が人工的に造成される前、石サンゴの自然分布は深度5~6メートルまで達していた。しかし試験区域では、水深4メートル以下ではサンゴが見られず、残存したわずかなサンゴの主要分布は2メートル前後の浅瀬に限られた。研究チームの調査によって、水流が弱いために堆積物が多く、透明度が下がり、新しく生まれたサンゴの苗が4メートルより深い水深では成長できないことが判明した。研究チームは困難と危険に見舞われながら実験を続けた。

 しかし、収穫もあった。サンゴの苗が傷ついて身体の組織を回復させていくとき、周囲に大量のヒドロ虫が出現するということが発見されたのだ。1つのヒドロ虫の周囲には4~7の新芽が生え、これがサンゴの繁殖スピードと量を大いに促進する。

 2016年、台風の影響で一部のサンゴが損傷を受けた。研究所は無性繁殖の方式を採り、新しく4万株のサンゴを育て、1500平方メートルのサンゴ礁のひな型を造った。2017年、熱帯海洋研究所は鳳凰島の海域で10万1300株のサンゴの苗を育てた。この10年近くで彼らが育てたサンゴは23万株に及ぶ。

 サンゴ研究と移植実験の成果は、実験プラットフォームと不可分のものであった。1996年には早くも、陳宏さんは飼育プラットフォームを建設している。

 2018年、熱帯海洋研究所は新しく海上サンゴ養殖プラットフォームを設立した。これは木製のフロート式プラットフォームで、4つの高密度立体いけすを配置した養殖用筏(いかだ)である。

「プラットフォームは水質が良好に保たれており、陸上養殖施設を建設する膨大なコストを節約できます。プラットフォーム上には太陽光発電システムと実験室が配備され、太陽光を利用でき、養殖設備でのエネルギー消費を抑えることができます」。熱帯海洋研究所養育チームリーダーの呂洪生(Lv Hongsheng)さんは言う。サンゴとその共生生物は完全に自然の中で育ち、生育環境は室内の施設よりも良いという。

「将来の『サンゴの花園』のためには、観光・環境保全・科学研究が三位一体となったシステムが必要です」。研究チームはデータベースを作り、サンゴとその共生生物の人工繁殖システムを確立しようとしている。(c)People's Daily/AFPBB News