【10月6日 AFP】キルギスで6日、反政府デモ隊が議会と大統領府の入る建物を占拠し、拘束されていたアルマズベク・アタムバエフ(Almazbek Atambayev)前大統領前を解放した。地元メディアが報じた。同国では、票の買収疑惑のある議会選をめぐる抗議デモが行われ、警官隊との衝突に発展していた。

 米政府系放送局ラジオ・フリー・ヨーロッパ(RFE)のキルギス支局が公開した写真には、同国の政治の中枢をデモ参加者が歩き回る様子が写っている。複数の地元メディアも、議会占拠を報じている。

 占拠に加わった男性はAFPの取材に対し匿名を条件に、デモ隊2000人の一部が建物の出入り口を破ったと証言。「仲間たちがなだれ込んだ時、誰一人建物を守ろうとしなかった」と語った。

 さらに、「われわれは足を止めて国歌を歌い、まったく抵抗に遭わずに建物に入った」とし、中には「技術系職員」しかおらず、その職員もすぐに退去したと付け加えた。

 キルギスでは4日、議会選(定数120)が行われ、議席を獲得できなかった複数の政党がデモを企画。議会に突入する前から、デモ隊と警官隊の衝突が数時間続いていた。

 保健当局によると、少なくとも120人がこの衝突による負傷で入院した。うち半数は警察官だという。

 野党「アタメケン(Ata-Meken)」は、現役議員でもあるジャナル・アカエフ(Janar Akayev)党首がゴム弾を脚に受け負傷したと発表。

 アタメケンは、今回の議会選で1議席も獲得できなかった有力政党の一つ。議会選の仮集計では、ソオロンバイ・ジェエンベコフ(Sooronbai Jeenbekov)大統領に近い2政党がほぼ全ての議席を獲得したことが分かっている。AFPは大統領府に取材を試みたが、連絡が取れなかった。

 ソーシャルメディアにはデモ参加者らが議会と大統領府の入る建物の占拠を喜ぶ様子を捉えた動画が投稿された。ある写真には男性がジェエンベコフ氏の肖像を蹴る姿が写っていた。(c)AFP