【10月5日 Xinhua News】中国の重慶市(Chongqing)文化遺産研究院はこのほど、市内にある万州天生城遺跡の第3期(2019~20年)発掘調査が完了したと明らかにした。遺跡からは、南宋期の住居跡や排水溝などが新たに見つかったほか、礌石(らいせき)と呼ばれる城の防衛戦で城壁などから落とす石も多数出土した。

 天生城遺跡は同市万州区周家壩街道の天生城社区(コミュニティー)にある。長江北岸の山沿いの絶壁に築かれた城の跡で、宋・モンゴル戦争で、宋の南西部を守る山城防御体系の重要構成部分だった。2013年に第7次全国重点文物保護単位(国宝・重要文化財に相当)に指定されている。

 同研究院の方剛(Fang Gang)副院長によると、今回の調査ではこれまでの作業を踏まえ、遺跡東部エリアで集中的な試掘調査を再度実施。南宋期の住居跡や排水溝、井戸、灰坑などの遺構が新たに見つかり、貴重な宋代の礌石19点を含む磁器片や銅銭、筒瓦、石臼などの遺物や標本500点余りが出土した。

 史料によると、天生城は築城から元軍により攻略されるまでの30数年間、万州の治所(政庁所在地)とされ、同地区の政治と軍事の中心だった。

 方氏は「今回出土した生産・生活用具や軍事兵器などの多くの遺物は、いずれも天生城遺跡の持つ歴史的価値を直接反映している。宋・モンゴル戦争の過程、山城防御体系の全容を知る上で重要な価値を持つ」と述べた。(c)Xinhua News/AFPBB News