【10月4日 AFP】中国と国境を接するインド北部ヒマチャルプラデシュ(Himachal Pradesh)州で3日、ヒマラヤ山脈(Himalayas)を通るトンネルが開通した。係争地となっている中印国境地帯への軍の移動が格段に容易となり、開通に立ち会ったナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相は「住民のみならず、わが軍にも大きな恩恵をもたらす」と意義を強調した。

 トンネルは、ラダック(Ladakh)の対中国境地帯に軍が向かう際に使用する、主要道路2本のうち1本に建設された。中国の新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)やチベット自治区(Tibet Autonomous Region)とも境を接するラダックでは今年6月、共に核保有国である中印の軍が衝突し、インド軍の兵士20人が死亡、人数は不明だが中国軍にも死者が出た。

 この衝突以降、両国は国境地帯に数万規模の増援部隊と武器を送っており、数か月にわたって緊迫したこう着状態が続いている。

 建設費4億ドル(約420億円)、全長は9キロ。地滑りの多いヒマラヤ山脈の山岳ルートを迂回(うかい)できるようになり、国境地帯までの距離は以前より約50キロ、時間にして4時間短縮された。

 寒さと険しい山道により、毎年、1年のおよそ半分しか工事が行えず、完成には10年を要した。モディ政権は中国側で進められているインフラ開発に追い付こうと、この事業を強く推し進めていた。(c)AFP