【10月4日 AFP】アルメニアとアゼルバイジャンの係争地ナゴルノカラバフ(Nagorno-Karabakh)に近いアルメニア側の国境地帯には、疲れきった様子の住民が集まり、なんとかして首都エレバンに行こうとしている。

 住民らはナゴルノカラバフをめぐるアルメニアとアゼルバイジャンの軍事衝突を逃れてここにやってきた。戦闘はここ数日激しさを増し、域内の主要都市ステパナケルト(Stepanakert)にはロケット弾や迫撃砲による猛攻撃が加えられた。

 市内の住民5万人の多くは、首都エレバンを目指す最初の一歩として、アルメニア南東部の国境地帯の町ゴリス(Goris)の入り口にある灰色の旧ソ連様式のホテルの前に集まっている。エレバンはゴリスから約350キロ北西にある。

 女性の多くは見るからに疲れた様子で持っているバッグの上に腰掛け、そのそばでは子どもたちが遊んでいる。男性は通りすがりの車やタクシーに乗せてもらう機会を求めており、住民らを迎えるため当局が手配した紫色の公営バスへの乗車を希望する場合もある。

 エレバンに逃れてきた人々は、知人や親族の家に滞在したり、ホテルや学校に無料で宿泊したりしている。当局は支援に向けて食料や衣類、義援金を募り、おもちゃも集めている。

 今のところ逃れる人々の数は限定的で、大移動の兆しはまだない。ただ彼らのそばを通過する軍のトラックや救急車は、軍事衝突が当分続くことを暗示している。

■双方の死者240人以上に

 アルメニア政府は3日、アゼルバイジャンとの戦闘で新たに51人が死亡したと発表した。これにより双方の死者は240人以上になった。(c)AFP/Hervé BAR