トランプ氏をモルモット扱いの声も 未承認の抗体カクテル療法とは?
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■効果と副作用は?
現在、さまざまな用量で治療薬の安全性と有効性をテストし、プラセボ(偽薬)を投与した場合と比較して効果を確認する臨床試験が実施されている。
リジェネロンは9月29日、臨床試験の早期段階で得られた結果の一部として、同社の治療薬によりウイルス量が減少し、入院治療を受けていないCOVID-19患者の回復が早まったと発表した。
この発表結果は治験対象者275人の患者のデータに基づくもので、リジェネロンのジョージ・ヤンコプロス(George Yancopoulos)社長は、同社が規制当局との交渉を開始したことを明らかにした。正式承認の前に暫定的な承認を受けるためとみられる。
ただし、同データの詳細は未公表で、専門家による査読も行われていない。
安全性については、薬剤投与後の副作用「インフュージョン・リアクション(輸注反応)」が4人(うち2人はプラセボ投与、2人は治験薬投与)に見られたという。また、「重篤な有害事象」がプラセボ群の2人と、治験薬を投与した1人に発生した。死亡者は出ておらず、副作用の詳細は発表されていない。
■一部の専門家が懸念する理由は?
臨床試験のデータが不十分な現段階で、未承認薬の使用を緊急的に認め、トランプ氏を治療する方針については理解に苦しむという研究者らもいる。
老年医学が専門の米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のカーラ・ペリッシノット(Carla Perissinotto)教授はAFPの取材に応え、未承認薬の(人道的)使用が例外的に認められるのは、通常、他の代替療法では効果が得られなかった場合のみだと説明。
「副作用のリスクが非常に高くなるので、私なら、治験段階にある未検証の薬剤の使用には非常に慎重になる」と話した。
米ハーバード大学(Harvard University)で公衆衛生を専門とするジェレミー・ファウスト(Jeremy Faust)氏は、今回の未承認薬の使用について疑問を呈し、こう述べた。「大統領をモルモット扱いしてはいけない」 (c)AFP/Issam AHMED