トランプ氏をモルモット扱いの声も 未承認の抗体カクテル療法とは?
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【10月3日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は2日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療のため、米バイオテクノロジー企業リジェネロン・ファーマシューティカルズ(Regeneron Pharmaceuticals)が開発した未承認の「抗体カクテル」療法を受けた。
この治療薬はどのようなものなのか。臨床試験はどの程度進んでいるのか。そして、未承認薬の使用に一部の専門家が反対している理由は何か。以下に概要をまとめた。
■治療方法
リジェネロンの治療薬は「REGN-COV2」という名称で、2種の抗体を組み合わせるため「カクテル」とも呼ばれる。
抗体は、ウイルスがヒトの細胞に侵入する際に働く部分に結合して感染を防御するタンパク質で、(ウイルスがヒトの細胞に侵入するのを助ける)「スパイク糖タンパク質」に結合し、その構造を破壊する。鍵の形を破壊して鍵穴に合わなくするイメージだ。
ワクチンはヒトの体に抗体をつくらせて効果をもたらす。回復者の血漿(けっしょう)に含まれる抗体を利用する試みも行われているが、そうした血漿を大規模な治療に用いることはできないため、回復者の体内に生成された抗体から最も効果の高いものを選び出し、量産することも考えられる。
6月に学術誌「サイエンス(Science)」に掲載されたある論文では、リジェネロンの研究者らが、回復者と、遺伝子操作でヒトと同様の免疫系を与えてウイルスに感染させたマウスの双方から抗体を採取して最善の抗体を2種選び出した方法が述べられている。
また、同誌の別の論文は、新型コロナウイルスが突然変異し、抗体の阻害作用を避けるウイルス株が優勢になるリスクを、この2種の抗体を用いて阻止に成功したと発表している。