■重症化の確率は「20%」と専門家

 トランプ氏が新型ウイルスに感染しているという衝撃的な診断は、世論調査で民主党候補ジョー・バイデン(Joe Biden)前副大統領に後れを取っているトランプ氏陣営には大きな打撃となった。

 当初、側近は楽観的な見方をしていたが、2日に専属医のショーン・コンリー(Sean Conley)医師が発表した文書は、トランプ氏の容体がもっと深刻な状態にあることを示唆していた。

 トランプ氏は激戦州フロリダで2日に開く予定だった選挙集会をはじめとして、今週末から来週にかけて予定していた激戦州ウィスコンシンや西部の州での遊説も中止。トランプ陣営は、大統領の参加が予定されていた全イベントについて、延期またはオンラインでの実施に変更すると発表した。15日に予定されている両候補の2回目のテレビ討論会も、実施が危ぶまれている。

 選挙集会はトランプ氏の選挙戦で重要な要素であるため、突然、移動できなくなったことで陣営は混乱し、選挙戦略の根本的な再検討を迫られている。さらに、再選を目指すトランプ氏は、新型コロナウイルスの脅威は誇張されているという主張を選挙遊説の柱にしていた。

 70代で、定義上は肥満に分類されるトランプ氏は、重症化するリスクが高い。

 米ニューヨークの医師1000人で構成される組織「プロヘルス・ケア・アソシエイツ(ProHEALTH Care Associates)」で感染症部門を統括するダニエル・グリフィン(Daniel Griffin)氏はAFPに対し、トランプ氏が酸素吸入が必要になるほど重症化する確率は20%程度との見方を示した。(c)AFP/Sebastian Smith and Emma Charlton