【10月3日 AFP】室内には人々が密集し、人の出入りが激しく、“ボス”はマスクをする人を好まない──。新型コロナウイルスに感染したドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が住むホワイトハウス(White House)は、そんな場所だ。

 トランプ氏がメラニア(Melania Trump)夫人とともに新型ウイルス陽性となったことが2日未明に明らかになると、職員らは接触者の特定と検査に追われた。だがそれは容易な作業ではない。

■選挙集会

 トランプ氏は、再選をかけた11月の大統領選に向け、選挙集会の開催を増やしていた。会場には数千人が密集し、参加者らは多くの場合、マスクを着用していなかった。

 最後の集会は9月30日、ミネソタ州で開催。トランプ氏はその際、翌日に新型ウイルス陽性が判明した側近のホープ・ヒックス(Hope Hicks)氏を伴っていた。

 選挙集会の多くは屋外で開催されているものの、トランプ氏は先週、フロリダ・ジョージアの両州で数百人の支持者との室内イベントを開いていた。

■ホワイトハウス

 ホワイトハウス内には小さな執務室や廊下が入り組んで配置されており、典型的な政府庁舎ではなく、政府利用のため改築された大邸宅のような建物となっている。

 大統領執務室(Oval Office)でさえもある程度の人数が入ればすぐ密集状態となる上、職員用「オフィス」の多くもアルコーブ(壁面に作られたくぼみ)に机1台を押し込んだような小部屋にすぎない。

 ホワイトハウスに勤務する職員は400人近く。これに加え、ジャーナリストらが手狭な記者室に詰めている。記者らはマスク着用を厳守する一方、職員の大半はマスクを着用していない。

 トランプ氏はしばしば、マスク着用をやゆし、自身は検査を頻繁に行っているから安全だと述べていた。ただ、トランプ氏の検査頻度もはっきりしていない。

 ケイリー・マケナニー(Kayleigh McEnany)大統領報道官は7月、トランプ氏は「1日に複数回」検査を受けていると説明。一方でトランプ氏はこれとは食い違う説明をし、「平均で2~3日に1回」とした。