【10月6日 AFP】架空の王室を風刺する記事を発表したことで禁錮7年の刑を科された活動家、サムヨット・プルックサーカセームスック(Somyot Prueksakasemsuk)氏(58)は今、タイの強力な王室制度の改革を求める運動の最前線にいる大学生に畏敬の念を抱いている。

 若者らはこれまで取り上げることが禁じられていた王室の役割について自由に議論することを求め、ここ数か月ほぼ毎日デモを行っている。タイには厳格な不敬罪が存在しており、こうした議論はこれまでタブーとされてきた。

 サムヨット氏は取り締まりを恐れているが、若者らの活動に刺激され、バンコクでの抗議活動に加わることを考えるようになった。

「過去のわれわれの努力が途切れることなく続いていることを本当に誇りに思う」「新しい世代は、この政治制度の下では希望がないという現実に気付いている」と、サムヨット氏はAFPに述べた。

 学生らの要求の一つに、刑法112条の廃止がある。王室を名誉毀損(きそん)から保護するためのものだったが、広く解釈されあらゆる批判が対象となっている。刑法112条に違反した場合、1件につき最大禁錮15年を科すことができる。

 また、2014年のクーデターを主導した元陸軍司令官のプラユット・チャンオーチャー(Prayut Chan-O-Cha)首相の辞任と、昨年の選挙で軍政に有利に働いたと学生らが主張する軍政が制定した新憲法の改正も求めている。

 パイの名で知られる反政府活動家ジャトゥパット・クンパッタラクサー(Jatupat Boonpattararaksa)氏(29)も、悪名高い112条に違反したとされた。

 パイ氏は、マハ・ワチラロンコン(Maha Vajiralongkorn)国王に関する英BBCの記事をフェイスブック(Facebook)で共有したため逮捕され、2019年に恩赦を受けるまで2年以上、刑務所で過ごした。

 パイ氏は「この世代の若者たちは、これまでわれわれが口に出せなかったことを言いだし始めている」と述べた。パイ氏は今、若者と一緒になりデモを盛り上げている。