【10月2日 AFP】米カリフォルニア州ナパバレー(Napa Valley)のシルバラードトレイル(Silverado Trail)は、ワイン愛好家ならいつかは訪れたいと夢見る「ワイン醸造所巡り」の名所だ。ブドウ畑の間を抜けてカリストガ(Calistoga)まで続く道沿いには多くのワイナリーがある。

 だが、今週発生した山火事「グラス・ファイア(Glass Fire)」によって、夢のワインルートの多くが灰燼(かいじん)に帰した。リゾートホテル「メドウッド(Meadowood)」の三つ星レストランも、有名な醸造所シャトー・ボスウェル(Chateau Boswell)も焼失し、ブドウ畑は煙で汚染されてしまった。

 ナパバレーでは少なくとも12か所のワイナリーやブドウ畑が被害を受け、焼失面積は約2万200ヘクタールに及んでいる。シルバラードトレイル沿いや丘のあちこちで今も煙が上がり、つるはしやシャベル、ホースを手に炎と闘う消防隊員らの姿が確認できる。

 避難命令が出ているため、今のところ被害に遭っていないワイナリーも閉鎖され、多くが無人となっている。

 1886年に市制化されたカリストガは、世界有数のワイン観光地となった。人口約5200人の街には、クリス・カニング(Chris Canning)市長によると年間100万人を超える観光客が訪れる。だが、今年は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)で観光業界もワイン業界も大打撃を受けている。そこへ、山火事が追い打ちとなった。

「2020年は最悪だ。早く今年が終わってほしい」とカニング市長は語った。(c)AFP/Glenn CHAPMAN