【10月14日 AFP】第5世代(5G)移動通信システムに対応する携帯電話とネットワークに、人の健康を害する恐れはあるだろうか? さまざまな国で5Gの運用が開始されるなか、5Gが人体と環境に与える影響をめぐっては根強い懸念がある。

■5Gとは何か?

 5Gの特徴の一つは、高速大容量のデータ通信だ。センサーとサーバーが即時につながり、自動運転やバーチャルリアリティー(仮想現実、VR)、健康機器などのコネクテッドデバイス(インターネット接続された機器)の進歩を可能にする。

 その速度を得るために5Gは現在の通信よりも高い周波数帯を使用する。周波数が高くなると電波の到達距離は短くなり、また建物などの障害物でより簡単に阻害されやすくなる。その結果、携帯電話につなげるためにより多くのアンテナが必要となる。

 これが、一部の人たちが懸念していることだ。5G通信では、街灯の上などより人に近い場所に設置された小型アンテナが数多く必要となり、人々を今よりも多くの電波にさらすことになりかねないというのだ。

■電波が人体に与える影響は?

 電波を出す機器として問題視されているのは、携帯電話だけではない。テレビ、ラジオ、Wi-Fi機器はすべて電波を放出している。

 世界保健機関(WHO)は、こうした電波にさらされることへの懸念があることは承知しているとする一方で、これまでに行われた数多くの研究結果では「無線機器の電波にさらされることによる健康への悪影響について、直接的な関係は示されていない」としている。ただ、5Gで使われる周波数に着目した研究がまだあまり行われていないことについては認めている。

 頭部付近で携帯電話を長時間利用するとがんリスクが上昇する──こうした懸念も依然残ったままだ。これについてWHOは2011年、手を使わずに使用できるハンズフリー機器の使用について推奨する提言をした。

 他方で、携帯電話やタブレット端末、インターネット接続された玩具が子どもの認識能力に影響を及ぼすことも考えられるとして、フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)は2016年、これらの機器にさらされている状態を制限するよう推奨している。