【10月2日 AFP】大統領選を1か月後に控えた米国で、新型コロナウイルス関連の新たな経済対策の見通しが立たない中、米ウォルト・ディズニー・カンパニー(The Walt Disney Company)、アメリカン航空(American Airlines)、ユナイテッド航空(United Airlines)が相次いで従業員の削減を発表、わずか24時間で計6万人が解雇された。

 米保険大手オールステート(Allstate)は先月30日、3800人を解雇することになると警告。また、米石油精製大手マラソン・ペトロリアム(Marathon Petroleum)も、全体の12%に当たる2000人以上を解雇するとしている。

 解雇や一時帰休を免れることができる業種はないとみられる。

 米国が新型コロナ危機に見舞われるとまず、ホテルや飲食店、レジャーなど観光・ホスピタリティ分野が、経営破綻を避けるため大規模な従業員削減を行わざるを得なくなった。

 航空会社など一部大手は、数万人の雇用を守るため政府の支援を受けた。

 だが、経済対策の大半は先月30日に終了し、連邦議会では与野党が対立しているため新たな経済対策はいまだまとまっていない。

 9月29日に発表された米航空会社7社に対する計250億ドル(約2兆6000億円)の融資枠設定は、長期低迷を乗り切る資金とはなるが、従業員の一時帰休の回避策とはならないだろう。

 今月1日、アメリカン航空とユナイテッド航空はそれぞれ、1万9000人、1万3000人の従業員の一時帰休を発表した。一方、ハワイアン航空(Hawaiian Airlines)など中小の航空会社も一部従業員を削減せざるを得ない状況だ。

 米セントルイス連邦準備銀行(Federal Reserve Bank of St Louis)のエコノミストらによると、米国の失業者数が他の欧米諸国と比べて急激に増えたのは、政府の戦略によるものだという。

 同銀のエコノミストらは最近投稿したブログ記事で、「新型コロナウイルス流行下での欧州や日本の政府の失業対策は、企業と労働者の関係維持を重視してきた」が、「米国の支援策は、既に解雇または一時帰休された労働者に失業手当を支払うことを重視してきた」と指摘している。(c)AFP/Juliette MICHEL