【10月4日 AFP】イエネコにとって魅力的すぎるため、スイスのヤマネコが絶滅の危機にひんしているとの研究結果が9月29日、発表された。

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 イエネコは捕食者として、すでに複数の種を絶滅に追い込んでいる。一方、スイスのヤマネコは、その強力なセックスアピールがイエネコを魅了してしまうことが絶滅の理由となる可能性があると、研究者らは警告している。

 研究は、スイス・ジュネーブ大学(University of Geneva)の生物学者らが、スイス・チューリヒ大学(Zurich University)、英オックスフォード大学(University of Oxford)と共同で実施したもので、ヤマネコとイエネコの交配について調べた結果、スイスのヤマネコが危機的状況にあることが分かった。

 ジュネーブ大学は9月29日の発表で、「さまざまなシナリオを検証した結果、進化においては短期間とされる今後200~300年の間に、雑種形成による不可逆的な遺伝子置換が発生するだろう」と述べた。

 さらに近い将来、スコットランドとハンガリーで実際起こっているように、ヤマネコとイエネコの見分けがつかなくなる可能性があると警鐘を鳴らしている。

 学術誌「エボリューショナリー・アプリケーションズ(Evolutionary Applications)」に掲載された研究結果によると、ヤマネコとイエネコは異なる亜種ではあるものの、繁殖力のある交配種を生むことができる。

 研究者らは「交雑の機会を大幅に減らす」必要性を強調し、森林と接する地域のすべての雌のイエネコに不妊手術を施すよう促している。

 イエネコの雌にとって、イエネコの雄よりもヤマネコの雄の方が交尾相手として魅力的であることから、イエネコの雌に焦点を当てる必要があると研究者らは述べている。

 研究の共同執筆者は、「二種間の交尾をやめさせることが、野生種保護の唯一の方法だ」と指摘した。(c)AFP/Christophe VOGT