【10月1日 AFP】(更新)欧州連合(EU)・欧州委員会(European Commission)のウルズラ・フォンデアライエン(Ursula von der Leyen)委員長は1日、英国がEU離脱(ブレグジット、Brexit)協定の一部をほごにしようと試みていることについて、法的措置を講じると決定したと発表した。

 フォンデアライエン委員長は、「欧州委はけさ、英政府に対し正式な通告書を送付することを決定した。これは違反行為に対する手続きの第1段階だ」「この通知書は英政府に対し、1か月以内に見解を示すよう求めている」と説明した。

 これを受けて英側は、ブレグジット協定の一部をほごにすることが可能になるこの法案を擁護。

 英政府報道官は、EUが発表した法的措置について「適正な形で」正式に回答すると述べる一方で、「われわれには、国内市場の完全性を守る法的なセーフティーネット(安全網)を設け、閣僚らが北アイルランドへの義務を常に果たせるようにし、和平プロセスから得られる利益を守る必要がある」との見方を示した。

 英下院は9月30日、EU離脱後の移行期間が終了し、英国がEU単一市場と関税同盟を離脱する来年1月1日から国内市場を規制していく法案を可決。

 この法案は英政府も自ら認めているように、ボリス・ジョンソン(Boris Johnson)首相が昨年EU高官らと合意したEU離脱協定の一部をほごにするもので、結果的に国際法違反に相当する。

 EU側は同法案が、離脱協定の施行に当たり両当事者が「誠実に協力する」ことを義務化する同協定第5条に違反するとしている。

 英国が法案を撤回しなければ、違反行為に対する手続きは最終的にEU司法裁判所に持ち込まれ、巨額の罰金が英国に科される可能性もある。

 今回の法的措置は、ブレグジット後の貿易協議の頓挫に直結するわけではないにしろ、交渉期限が迫る中、EU側に広がる悲観的なムードが反映されている。(c)AFP