【10月6日 AFP】コンゴ民主共和国で9月上旬、きちんとした設備のない小規模の金鉱山が豪雨で崩落し、死者が出た。専門家らは、違法な採掘に携わる小規模鉱山の労働者は、アラブ首長国連邦(UAE)ドバイ(Dubai)までつながる金のサプライチェーン(供給連鎖)の最初の輪として、しばしば搾取の対象になっていると指摘する。

 東部の町カミトゥガ(Kamituga)にある同金鉱で先月11日、豪雨が流れ込み、9月14日時点で鉱山労働者22人の遺体が収容されたと現場近くの住民がAFPに語った。

 コンゴ民主共和国の小規模鉱山労働者らは危険な鉱山で金を採掘し、地元の取引業者に売るため命を賭している。

「カミトゥガでは、300か所の買い取り窓口を見つけることができる」と同国の人権団体「Justice Pour Tous(全員に正義を、の意)」のラウール・キトゥンガノ(Raoul Kitungano)氏は述べた。

 こうした取引業者らはその後、国境を接する国々──主にブルンジとウガンダ──に金を輸出する。

 取引はコンゴ民主共和国の当局の監視の目をくぐり抜け、世界銀行(World Bank)によると、巨大な鉱物資源を有しながら人口の72%が1日当たり1.90ドル(約200円)未満で暮らす同国に打撃を与えている。

 国連(UN)の専門家は昨年発表した報告書で、コンゴ民主共和国東部に位置する南キブ(South Kivu)州の鉱山事業の幹部は、同州都ブカブ(Bukavu)経由で輸送される未申告の金は1か月間で約300キロに上るとみているが、「州政府の統計では1か月当たり平均約5キロということになっている」と指摘している。

 鉱山業に特化した弁護士、ランバート・デュンガ(Lambert Djunga)氏は、鉱山労働者らがいかに搾取されているかを強調した。

「地元の取引業者は、十分に対価が支払われていない小規模鉱山の労働者が採掘した品物(金)を、越境取引を行う密売人に転売する。その密売人が今度は、主にアフリカ中部ブルンジの主要都市ブジュンブラ(Bujumbura)やウガンダの首都カンパラに違法に輸出する」とデュンガ氏はAFPに語った。ブジュンブラとカンパラは交易拠点で、ここからその後「湾岸諸国や欧州へ高額で」金が転売されているという。