【10月1日 AFP】スイス・ジュネーブ郊外にある中学校が、新学期から導入した服装規定で「みだらな」服装と判断された生徒に「恥ずかしいTシャツ」を着るよう強制したことが発覚し、女子生徒らを辱めたとして批判を浴びている。この中学校前では9月30日、ショートパンツやミニスカートをはき丈の短いシャツやブラウスを着た少女や女性ら数百人が集まり、服装規定の「性差別」をやめるよう抗議デモを行った。

「恥をかかせることは教育ではない」「私の服装を直す前に、学校の性差別をどうにかしろ」──地元メディアは、こうしたプラカードを掲げたデモ隊の写真を掲載した。「生徒を性的に扱う教師向けの恥ずかしいTシャツは、いつ導入されるのか」と書かれたプラカードもあった。

 パンシャ(Pinchat)中学校では夏休み明け初日、服装が不適切と判断された男子生徒2人と女子生徒10人に、親指を立てた手のイラストの下に「適切な服を着ています」と書かれ学校名が明記された特大サイズのTシャツの着用を強制していたことが先週発覚し、抗議の的となっている。

 スイスの報道によると、この「恥ずかしいTシャツ」を着せられた女子生徒の親がジュネーブ州教育委員会に苦情を申し立て、「権力を乱用して少女らを辱め、中傷し、レッテルを貼った」と学校当局を非難したことで、事態が明るみに出た。

 学校側は、生徒に「正しく適切な」服装を求める規則は「性別に関係なく」適用されると反論している。

 スイスの多くの中学校には服装規定があるが、何を適切と判断するかの基準が主観に基づいている点が批判されていると識者は指摘する。

「緑の党」のマルジョリー・ドシャストネ(Marjorie de Chastonay)ジュネーブ市議会議員は、問題のTシャツを着用させることを「少女たちにレッテルを貼ることを目的とした公開リンチ」も同然だと批判。「教育学に基づいて構造的な性差別に対する少年たちの問題意識を高める」決定を下さず、かえって「構造的な性差別を助長する不十分な法律」に基づいて決定を下したと、先週出演したスイス放送協会(SRG SSR)のフランス語放送局RTSで学校側の対応を非難した。(c)AFP