【9月29日 AFP】中国中部河南(Henan)省の幼稚園教諭が昨年、園児数十人の食事に毒を盛り、うち1人が死亡した事件で、この教諭に死刑が言い渡された。犯行の動機は、同僚への復讐(ふくしゅう)のためだったという。

 河南省の裁判所によると、ワン・ユン(Wang Yun)被告は、恨みを抱いた同僚が受け持つ園児に用意されたかゆに亜硝酸ナトリウムを入れ、それを食べた子どもたち25人が体調不良を訴えたという。

 昨年3月に起きた同事件に関する当時の報道によると、園児らは朝食のこのかゆを食べた後、失神や嘔吐(おうと)するなどして病院に搬送され、男児1人が重体に陥っていた。男児は今年1月に死亡したとされる。

 事件が起きた河南省焦作(Jiaozuo)市の中級人民法院(地裁)は28日、ワン被告は亜硝酸ナトリウムが有害であることを知りながら、「結果を顧みることなく」犯行に及び、罪のない多くの子どもたちに危害を加えたと指摘。

 ワン被告には今週、危険物質使用の罪で死刑が言い渡された。

 中国の幼稚園には3~6歳児が通っている。亜硝酸ナトリウムは肉類の保存料として用いられる食品添加物だが、大量に摂取すると人体に有害となる。

 ワン被告は犯行後、毒物を使用した理由を隠しており、裁判所は同僚への復讐という動機は「卑劣極まりない」と断じた。

 捜査当局によると、ワン被告が他者に危害を与えることを企図して亜硝酸ナトリウムを使用したのは今回が初めてではなく、2017年には夫のコップに同物質を混ぜ、夫は軽症を呈したとされる。(c)AFP