【10月4日 AFP】アフリカ・マラウイでは、食料が豊富な時のおやつとして人気の野ネズミが、新型コロナウイルスの流行によって食料不足と経済状況が悪化してからは重要なたんぱく源となっている。

 マラウイの首都リロングウェと大都市ブランタイア(Blantyre)を結ぶ幹線道路沿いには、行き交う車両目当てに行商人が、長い串に刺さった焼き野ネズミを持って立っている。

 風味を付けて、カリカリに焼いた塩味の野ネズミは、国内各地の屋台や市場で売られている。だが、この沿道のおやつは、困難な時期には手軽な食料ともなる。

 内陸国で、国民の半数以上が貧困ラインを下回っている小国のマラウイでは、栄養不良と食料不足が長年問題となっている。新型コロナウイルスによる外出制限措置のため生計手段が制限され、食料不足の悪化に拍車がかかっている。

 中央部ヌチェウ県(Ntcheu)のネズミ捕り師ベルナール・シメオン(Bernard Simeon)さん(38)にとって、新型コロナの流行とは、貧困生活に新たな困難が加わっただけだった。

 シメオンさんは、いつものネズミ捕りの準備をしながらAFPに「新型コロナの前から生活は大変だった」「今は新型コロナのために、本当にひどい状況になった」と語った。

 小作農を本業とするシメオンさんは、ネズミを捕って売り歩き、生計の足しにしている。妻と子どもは、シメオンさんの稼ぎに頼っている。

 シメオンさんの妻は昼食後に皿を洗いながら「困難なときは、肉を買うお金はないのでネズミで補っている」と語った。

 マラウイ政府は新型コロナ対策として導入した移動や事業を制限する規則のために収入をなくした人に、月額50ドル(約5300円)を支給すると約束した。6月からの予定だったが政府は先週、計画の最終準備中だと発表した。

 保健当局はその間、一部農村の最貧層に対し、無料かつ自然の資源で食料を補うよう求めている。保健省の主任栄養士シルベスター・カツンバ(Sylvester Kathumba)氏は、ネズミは「たんぱく源の一つだ」と語った。