【9月29日 AFP】国連(UN)は28日、北朝鮮が同国の核開発計画に対する国連制裁に違反し、制限量を超える石油の輸入や、海外への労働者派遣を行っていると指摘した。後者については、サッカーのイタリア1部リーグのチーム、ユベントス(Juventus)に所属していた韓光宋(ハン・グァンソン、Han Kwang-Song)選手(22)の名前も挙がっている。

 国連安全保障理事会(UN Security Council)によると、北朝鮮には精製石油製品の輸入について年間50万バレルの上限が科されているが、2020年の最初の5か月間だけで破られている。「画像、データ、計算」に基づいた北朝鮮の輸入量は「上限をはるかに超えている」という。

 国連の専門家らは「朝鮮民主主義人民共和国および外国籍船舶とその所有者ら」は、石油を不正に輸入するために「手の込んだ回避行動を続けている」と非難した。報告は北朝鮮への輸出を続けている国の名は挙げていないが、制裁対象とされている高級車や酒類などの「ぜいたく品」も輸出されているという。

 さらに国連報告書は、北朝鮮が「2020年1月下旬から3月上旬にかけて一時的な停止はあったものの、安保理決議に違反して、石炭の不法な海上輸出を続けている」とも指摘している。

 一方、北朝鮮の主要な同盟国である中国とロシアは、今回の報告結果を「仮定と推定に基づいたものだ」と否定している。

 国連報告書はまた今年1月にイタリア・セリエAのユベントスからカタールのアル・ドゥハイルSC(Al Duhail SC)に移籍した北朝鮮の韓光宋選手は、国連制裁による北朝鮮労働者の海外派遣禁止に抵触していると指摘している。

 フォワードとしてプレーする韓選手は、2018年から今年1月までユベントスに在籍。同報告によるとその間の推定年俸は60万7000ドル(約6400万円)で、新チームとは5年間で500万ドル(約5億3000万円)の複数年契約を結んでいる。

 国連制裁は加盟国に対し、各国で働く北朝鮮人労働者を2019年12月までに本国へ送還するよう要請していた。だが、安保理によるとこれに従った措置に関する報告を提出した国は「わずか40か国前後」にとどまっている。(c)AFP