【9月27日 AFP】旧ソ連のアルメニアとアゼルバイジャンの係争地であるナゴルノカラバフ(Nagorno-Karabakh)で27日、両国軍の戦闘が発生し、アルメニア軍はアゼルバイジャン軍のヘリコプター2機を撃墜した。アルメニア軍は、アゼルバイジャン軍が先に爆撃を行ったと主張している。

 アゼルバイジャンとアルメニアは、ナゴルノカラバフの帰属をめぐって数十年にわたり紛争状態にある。2016年以降で最悪の今回の衝突により、両国間で大規模な紛争が再燃する恐れが高まっている。

 ナゴルノカラバフの首長は、アゼルバイジャン軍が27日朝、同地域内で民間人を標的に「積極的な爆撃」を開始したと主張。標的には同地域の主要都市ステパナケルト(Stepanakert)も含まれていたという。アルメニア政府も、アゼルバイジャン軍が民家を標的に攻撃を行ったと主張している。

 またアルメニア国防省は、同国軍がアゼルバイジャン軍のヘリコプター2機と無人機3機を撃墜したと発表。さらに、ナゴルノカラバフでアルメニア人の女性と子どもが死亡したとしている。

 一方、アゼルバイジャン国防省は「アルメニアの戦闘活動を抑制し、国民の安全を確保するために反撃した」と主張。また、同国の大統領報道官は「民間人と軍人に死傷者が出ているとの報告を複数受けた」との声明を発表し、「(アルメニア軍が)停戦協定にあからさまに違反し、大口径ライフルや迫撃砲を使って前線のアゼルバイジャン部隊に集中攻撃を行った」と主張した。

 アルメニア人の分離独立派は、1990年代の紛争でアゼルバイジャンからナゴルノカラバフを奪取。この紛争で3万人が犠牲となった。

 1991年の旧ソ連崩壊後、最悪の紛争の一つとなったナゴルノカラバフをめぐる係争解決のための協議は、1994年の停戦合意以降、こう着状態に陥っている。

 エネルギー資源が豊富なアゼルバイジャンは多額の軍事費を投じており、ナゴルノカラバフを武力で奪還すると繰り返し明言している。

 ナゴルノカラバフは独立国であると宣言している一方、アルメニア政府に強く依存しており、アルメニアは同地域を防衛していく方針を示している。(c)AFP