【9月25日 AFP】隕石(いんせき)を頭上に掲げる先々代ローマ教皇、故ヨハネ・パウロ2世(John Paul II)の彫像が24日、母国ポーランドの首都ワルシャワでお披露目された。ヨハネ・パウロ2世は在位中、隕石の下敷きになった姿のろう人形をイタリア人芸術家が発表して物議を醸しており、今回の像はその作品への「回答」だという。

 ワルシャワ国立美術館(National Museum in Warsaw)前に展示された像は「毒の泉」と名付けられ、ヨハネ・パウロ2世が血だまりを模した赤い池の中に立ち、頭上に隕石を掲げる姿を描いている。ヨハネ・パウロ2世の生誕100年を記念して、ポーランド人芸術家イェジ・カリナ(Jerzy Kalina)氏が手掛けたインスタレーション作品だ。

 ワルシャワ国立美術館はウェブサイト上で、「カリナ氏から見たヨハネ・パウロ2世は、隕石に打ちのめされた無力な老人ではない。大力無双の超人だ」と説明している。

 ただ、この作品はすぐさまインターネット上で物笑いの種となった。芸術評論家たちからは、ポピュリストのポーランド現政権のカトリック至上主義的な見解を反映しているにすぎないと批判されている。

 ソーシャルメディアには、彫像が旅客機の荷物入れに隕石をしまおうとしているように加工した画像や、巨大化した彫像から人々が逃げ回るコラージュ写真が投稿・拡散された。

 発端となったろう人形は、1999年の伊ベネチア・ビエンナーレ(Venice Biennale)国際美術展でイタリア人のマウリツィオ・カテラン(Maurizio Cattelan)氏が発表した作品「ラ・ノナ・オラ(La Nona Ora)」。翌2000年にワルシャワのザヘンタ国立美術館(Zacheta National Gallery of Art)に展示された際には、議員2人が作品から隕石をどけて像を立たせようとしたことが報じられ、同美術館の館長は辞職に追い込まれた。(c)AFP