【9月26日 AFP】スペインの神学校でこのほど、数百年前のウィリアム・シェークスピア(William Shakespeare)の戯曲「二人の貴公子(The Two Noble Kinsmen)」の希少版が発見された。専門家らは、スペインに初めて渡来したシェークスピア作品の可能性があるとしている。

 1634年に発行された「二人の貴公子」は、愛憎と狂気をめぐる悲喜劇で、シェークスピアと劇作家ジョン・フレッチャー(John Fletcher)の合作。

 今回、希少な版が見つかったのは、スコットランドでカトリックが禁じられた後に創立されたスペイン西部サラマンカ(Salamanca)の神学校、ロイヤル・スコッツ・カレッジ(Royal Scots College)。発見者で、バルセロナ大学(University of Barcelona)で英文学を教えるジョン・ストーン(John Stone)氏は、「1635年から1640年の間にスペインに渡来した可能性が高い」と話した。これまでにスペイン最古のシェークスピア本とされていたのは、1640年代後半から1650年代初頭に渡来したとみられる戯曲集だ。

 特に17〜18世紀のスペイン国内では、英語の作品集は極めて数が少なかった。当時のスペイン国境では、全ての書物が異端審問所の検閲対象となり、特にイングランドのように、スペインでは異端とされていたプロテスタントに属する国の本は厳しく取り締まられていたためだ。

 今回見つかった「二人の貴公子」は、1630年から1635年の間に印刷された英語の戯曲8編をまとめた1冊の本の中の1編。旅行者が持参し、異端審問所の検査をくぐり抜けたとみられている。

 ストーン氏は現在、書物の研究者と協力し、とじ方などの製本技法から渡来時期を特定できないか調べているという。(c)AFP/Hazel WARD