【9月25日 AFP】黒人女性ブリアンナ・テイラー(Breonna Taylor)さん(26)が警察に射殺された事件をめぐり、米ケンタッキー州ルイビル(Louisville)では24日夜も、1000人以上が夜間外出禁止令に違反して抗議デモを続けた。

 ルイビルでは週明けまで、午後9時~翌朝6時半の外出が禁止されている。デモ参加者のうち約100人がファースト・ユニテリアン教会(First Unitarian Church)に逃げ込み、機動隊が教会を取り囲んで上空をヘリコプターが旋回する一幕もあった。教会内のデモ参加者らは、午後11時ごろに外に出ることを許可された。

 テイラーさん射殺に関与した警察官3人は、いずれもテイラーさんを死なせた罪に問われていない。

 遺族の代理人を務める人権派弁護士ベン・クランプ(Ben Crump)氏は、「米建国の父たちが約束した基本的人権、すなわち『生命、自由、幸福の追求』を黒人たちが得られるまで、そして人種差別という悪魔の暴挙がなくなるまで、私たちが平和を知ることはない」と、米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)への寄稿で訴えた。

 24日夜のデモに参加したアフリカ系米国人のグレース・ペニックス(Grace Pennix)さん(19)は、テイラーさんの境遇にどうしても自分を重ねてしまうと語った。「玄関を通るたび、考えてしまう。ああ、うちにも警官が来て、ブリアンナを撃ったみたいに私を射殺するかも、って」

「殺されるのは私かもしれないし、友だちやいとこ、叔母さん、お母さんかもしれない」

 当局は、違法集会への参加、解散の拒否、暴動などの容疑で少なくとも24人を逮捕したと発表した。ただ、市内では前夜のような暴力沙汰はなかったとみられる。

 テイラーさんの事件をめぐっては、警官3人のうち1人しか起訴せず殺人罪も適用しなかった大陪審の判断を受けて、人種間の平等を求める「Black Lives Matter(黒人の命は大切)」のデモが再び全米に広がっている。(c)AFP/Camille CAMDESSUS