【9月25日 AFP】米司法省は24日、2件の殺人罪で2000年に死刑判決を受けたアフリカ系米国人、クリストファー・アンドレ・バイルバ(Christopher Andre Vialva)死刑囚(40)の刑を執行したと発表した。連邦刑務所での死刑執行は、今年7月に17年ぶりに再開されてから3か月間で7人目。

 司法省によると、バイルバ死刑囚はインディアナ州テレホート(Terre Haute)にある連邦刑務所で、24日午後6時46分に刑を執行され死亡した。

 バイルバ死刑囚は1999年、テキサス州で若いカップルの車を盗み、2人をトランクに閉じ込めて射殺した後、車ごと遺体を焼いたとされる。弁護団は、事件当時19歳だったバイルバ死刑囚は精神年齢が成人に達していなかったと主張。死刑の執行停止を求めていたが、連邦最高裁は24日、弁護団の申し立てを却下した。

 米テンプル大学(Temple University)のジェイソン・チェイン(Jason Chein)教授(心理学)は、「事件の性質は非常に凶悪だが、科学的な考察に基づいた私の見解としては、クリストファー(バイルバ死刑囚)の脳は成熟した成人の脳ではなかったといえる」と米CNNに語っている。

 監視団体「米死刑情報センター(Death Penalty Information Center)」によると、犯行時に未成年だった死刑囚の刑が連邦レベルで執行されたのは70年以上ぶり。

 米国では、ほとんどの犯罪は州法によって裁かれる。特に深刻な事件は連邦裁判所が扱うが、連邦裁で死刑が言い渡される例はめったになく、刑の執行はさらに珍しい。1988~2003年に連邦刑務所で死刑が執行されたのは3件のみで、その後は17年間にわたり0件だった。

 しかし、死刑を強く支持するドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領政権は昨年、連邦レベルの死刑再開を決定し、今年7月に再開した。トランプ氏は「法と秩序」を掲げ、11月の米大統領選で再選を目指している。(c)AFP