■餌の変化と不安材料

 一方、昆虫保護研究の専門誌「ジャーナル・オブ・インセクト・コンサベーション(Journal of Insect Conservation)」には24日、チョウに関するもう一つの研究が発表された。

 米ミシガン大学(University of Michigan)のチームによるこの研究では、予測される気温上昇が起きた場合、北米を生息地とするオオカバマダラの羽の形状が変化し、毎年行う「渡り」が妨げられる可能性があることが発見された。

 研究チームは、オオカバマダラの幼虫を気温25度と28度の環境で飼育し、3種類のトウワタ(一般的なトウワタと沼地系および熱帯系)を餌として与えた。

 トウワタはどれもステロイドの一種、カルデノライドを含んでいる。このカルデノライドは、オオカバマダラの幼虫の体内に蓄積され、防御物質として捕食者からオオカバマダラを守ったり、寄生生物に対して抗生剤として作用したりする。カルデノライドの含有量は、トウワタの中でも気候温暖化で増殖している熱帯系の種ほど多い。

 今回の研究で、幼虫のときにより暖かい気候で育ったオオカバマダラは、「渡り」の期間と飛行距離がそろって短くなっていた。一方、一定の距離に消耗するエネルギーは増えていた。

 さらにカルデノライドを豊富に含む熱帯系のトウワタを餌として育ったオオカバマダラの羽は、より前後が短く幅が広かった。研究者らによるとこうした丸みを帯びた羽は、細長い羽よりも長距離飛行時の効率が悪いという。

 論文によると、オオカバマダラの個体数はここ数十年で「激減」している。1980年代以降で北米東部を移動する東部個体群では約80%、西部個体群では99%も減少している。(c)AFP/Kelly MACNAMARA