【9月25日 AFP】ボトル入り飲料水やワクチン製造で財を成した事業家が、電子商取引(EC)最大手、アリババグループ(Alibaba Group)の創業者、馬雲(ジャック・マー、Jack Ma)氏を抜き、中国一の大富豪になった。ブルームバーグ・ビリオネア指数(Bloomberg Billionaires Index)で24日、明らかになった。

 中国のボトル入り飲料水最大手を名乗る農夫山泉(Nongfu Spring)は今月上旬、香港株式市場に上場。創業者の鐘●●(●はいずれも目へんに炎、Zhong Shanshan)氏(66)の純資産は587億ドル(約6兆1800億円)となり、これまで中国一の富豪だった馬氏の純資産を20億ドル(約2100億円)上回った。

 農夫山泉は新規株式公開(IPO)で11億ドル(約1160億円)近くを調達。中国では、衛生上の理由から水道水を飲む人がほとんどいないことから、至る所で農夫山泉の商品が見られる。

 鐘氏は、4月に中国本土で上場したワクチンメーカー、万泰生物(Beijing Wantai Biological Pharmacy)の会長でもある。万泰生物は有名大学と連携し、鼻腔用スプレー型の新型コロナウイルスワクチンの開発を進めている。

 鐘氏は浙江(Zhejiang)省出身の元記者で、国営メディアによると、建設作業員として働いたこともあるという。めったに公の場に出ず、取材も受けたがらないことから、中国メディアからはしばしば「一匹おおかみ」と呼ばれている。中国のボトル入り飲料水市場が成長し始めた1996年に、農夫山泉を創業した。(c)AFP