【9月24日 AFP】ブラジル北西部アマゾナス(Amazonas)州の州都マナウス(Manaus)は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)により、非常に多くの住民がウイルスに感染したとみられている。それにより同都市の住民が「集団免疫」を獲得したとする予備的研究が、このほど発表された。

 査読前の医学論文を掲載しているウェブサイト「medRxiv」に掲載された研究は、数学的モデルを用い、感染データを分析した。それによると、猛烈な威力と速さで感染が拡大したマナウスでは、人口の66%が新型コロナウイルスに対する抗体を持つと推定される。

 この数値は、ある集団の中の十分な人数がある病気に対する免疫を持ち、もはや感染が事実上拡大しないことを意味する集団免疫閾値(いきち)に到達したと判断できるほど高い可能性があると、研究の著者であるブラジルを含む国際チームの研究者34人は述べた。

「すべての兆候が、新型コロナウイルスに大きくさらされたことこそが、マナウスでの新規感染者数と死者数の減少をもたらしたという事実を示している」と、研究の調整役を務めたサンパウロ大学(University of Sao Paulo)医学部のエスター・サビーノ(Ester Sabino)教授は述べた。

 アマゾン(Amazon)の熱帯雨林に位置するマナウスで感染の拡大が最も激しかった今年5月、処理能力を超えた病院、大量の墓地、保冷車に積み上げられた遺体など、むごい光景がみられた。

 しかし、人口220万人のマナウスの死者数はこのところ劇的に減少し、過去2週間は1日平均3.6人となっている。

■専門家らからは警告も

 一方、医療専門家らは、集団免疫の獲得という試みは政策立案者らにとっては危険な道だと注意を呼びかけた。

「自然な感染による集団免疫(の獲得)は戦略ではない。それは政府が感染の急拡大の抑制に失敗したという証しで、その代償として多くの命が失われている」と米マウントサイナイ・アイカーン医科大学(Icahn School of Medicine at Mount Sinai)のフロリアン・クラマー(Florian Krammer)教授(微生物学)はツイッター(Twitter)に投稿した。

 新型コロナウイルスに対する免疫は長続きしない可能性があるとの警告も、他の専門家らの間で上がっている。

 マナウスでは、新型コロナウイルスで2462人が死亡した。人口10万人当たりの死者数は100.7人と、もし国であれば世界で2番目に高い死亡率となる。(c)AFP