【9月24日 AFP】米ケンタッキー州ルイビル(Louisville)で3月、黒人女性のブリアンナ・テイラー(Breonna Taylor)さん(26)が警官らに射殺された事件で、大陪審は23日、関与した警官3人のうち1人を「無謀な危険行為」の罪3件で起訴した。

 起訴されたのは、ブレット・ハンキソン(Brett Hankison)被告。訴因はテイラーさんに対する銃撃ではなく、隣接するアパートの部屋に向けて発砲したこととされた。残る2人は不起訴となっており、ルイビルでは直ちに大陪審の判断に抗議するデモが巻き起こった。

 救急治療技師だったテイラーさんは、自宅で就寝中だった深夜、捜査令状をもとに踏み込んだ私服警官3人により射殺された。共に就寝中だった交際相手の男性は銃を取って警官らに向けて発砲。警官らはテイラーさんを複数回にわたって撃ち、死亡させた。

 警官側は巡査部長1人が負傷。発砲した男性は、警官らを犯罪者だと思い込んだと話している。警官らは規則に反し、ボディーカメラを起動していなかった。

 警官らは警察の無断立ち入りを認める「ノー・ノック」と呼ばれる令状を取得していたと伝えられていたが、ケンタッキー州のダニエル・キャメロン(Daniel Cameron)司法長官はこれを否定。「彼らはノックと通知をしていた」と述べた。

 キャメロン長官はさらに、テイラーさんを死に至らしめた発砲はハンキソン被告によるものではなかったと説明。残る2人の発砲は自衛のためだったと述べた。

 テイラーさんの死を受け、ルイビルでは人種差別に抗議するデモが数週間にわたり継続。テイラーさんの死から約2か月後、ミネソタ州ミネアポリス(Minneapolis)では黒人男性のジョージ・フロイド(George Floyd)さんが白人警官によって殺害される事件が発生し、全米規模の「Black Lives Matter(黒人の命は大切)」デモを引き起こした。

 フロイドさんの事件によってテイラーさんの死をめぐる世論の圧力と感情も高まり、ルイビル市は先週、テイラーさんの死をめぐる訴訟で遺族に対する1200万ドル(約12億6000万円)の支払いで和解していた。(c)AFP