【9月24日 AFP】クジラの大量打ち上げ現象について、Q&A形式でまとめた。

Q:クジラが浜辺に打ち上げられる理由は?

 クジラやイルカが浜辺に打ち上げられる原因は完全には解明されておらず、病気、進路の誤り、捕食動物の存在、異常気象などの説が挙げられている。

 高周波ソナー(音波探知機)も原因の一つに挙げられている。2002年にスペイン領カナリア諸島(Canary Islands)で北大西洋条約機構(NATO)軍の演習後にクジラが大量に打ち上げられた際には、対潜水艦ソナーの使用が原因ではないかと疑われた。

 オーストラリア南部タスマニア(Tasmania)島に本部を置くオーストラリア海洋哺乳類センター(AMMC)のマイク・ダブル(Mike Double)所長によると、打ち上げられたクジラやイルカが1頭だけの場合は通常、病気が原因だという。

 病気になった1、2頭のクジラが浜辺に向かって進み、非常に社交性の高い群れがこれを追いかけた可能性があるケースや、水深の深い海域から獲物を追いかけて迷い込み、海岸に近づきすぎた可能性が考えられるケースもあるという。

Q:よくある現象なのか?

 悲しいことによくある現象で、特に豪南部ではクジラの大量打ち上げが頻発している。隣国ニュージーランドでも2017年、600頭あまりのクジラが浜に乗り上げ、救助隊が約400頭をどうにか救出した。

 ニュージーランド・マッセー大学(Massey University)の海洋哺乳類学者カレン・ストッキン(Karen Stockin)氏によると、両国にはクジラが打ち上げられる「ホットスポット」として知られる地域がある。またニュージーランドでの発生記録は1800年代までさかのぼることができる。

 クジラの大量打ち上げは、世界の他の地域でも頻繁に発生している。

 2015年4月には、イルカの一種カズハゴンドウ約150頭が茨城県鉾田市の海岸に打ち上げられているのが見つかった。さらにこの年には、チリ南部パタゴニア(Patagonia)地方の人里離れた入り江でクジラ300頭あまりが発見された。

 知られている範囲で20世紀最大規模の事例の一つは、1946年10月にアルゼンチン近海で推定835頭のオキゴンドウが打ち上げられていた例だ。

Q:打ち上げられたクジラを救うことは可能か?

 通常は特殊な器具を使って、打ち上げられたクジラを砂浜から海に戻す作業が行われる。だが、ストッキン氏によると、乗り上げた砂浜からクジラを離して海に浮かべても「少なくとも群れの一部は、方向転換して再び浜に乗り上げる可能性が高く」、救助隊にとってこれが難題となっている。

 乗り上げた場合の生存率は、クジラが水から出てからどれくらい時間が経過しているかによるとストッキン氏は述べた。(c)AFP